#たまには雨の話 ※6月の放送回【1話完結!スーパー短編】


「こんばんは、クリス米村です。


聞こえるかな、雨の音。


外は今、雨が降ってる。


ここはスタジオだから、もちろん雨の音は入ってこない。


マイクを通して、外の音がリスナーに聞こえるわけがない。


オレはこう言いたかったんだ。


みんなの心の中に、雨は降ってるかって?


少しロマンチックすぎたかな。


ハッハッハ。


女の子は、こういうのが好きだからな。


あ、そうそう。


オレが言ってる「女の子」ってのに、年齢は関係ない。


80歳の女の子だっている。


80歳のおばあちゃんが、オレに会えたって、恥ずかしがるんだぜ。


どう見ても、「女の子」になってた。


「女」じゃない。


「女の子」だ。


心に雨が降ってると、こういう繊細なことを感じとれるようになる。


また、ロマンチックになっちまったな。


真似していいぜ。


梅雨に入って、雨の日が多くなってきた。


さっき、心の雨の話をしたけど、オレはもう何年も、涙を流した記憶がない。


一番最近は、あれかな。


お気に入りの動画が、どこにも見当たらなくて、泣いた。


確かにブックマークしたはずだ。


ゴリラが雨宿りしてる動画でさ。


野生動物だから、ちょっとぐらい濡れてもいいと思うだろ?


ところが、濡れるのをイヤがるんだ。


雨が当たると、「冷た!」って顔して。


人間みたいで、おもしろくてさ。


別の番組で、この動画をまた見たいんだけど見つからないって話をしたら、動画のリンクを貼ったツイートが、大量にリツイートされたらしい。


サーバーがダウンしてた。


有名な動画だったんだな。


マネージャーに怒られたよ。


あれが見たい、あれがほしいって言わないでくれって。


熱心なオレのファンが、血まなこで探すみたいだ。


まあ、ひかえることにする。


そうそう、涙の話だ。


昔はよく泣いてたんだ。


くやしいときや、感動したとき。


悲しいときもさ。


オレは、なんていうのかな。


人の心の痛みがわかるっていうの?


もらい泣きとか、マジ、してた。


魅力あるスターっていうのは、そういう感覚が必要かもな。


人と一緒に涙を流すっていうか。


だからといって、もう長いこと泣いてないオレが、血も涙もないってわけじゃないぜ。


いや、血も涙もないか。


スターになって、一般人の気持ちがわからなくなってるのかもな。


寂しいと思うこともある。


ただ、これだけは言わせてほしい。


こんな高いところまで登るつもりはなかった。


ファンのみんなにすまない、という気持ちを込めて、今夜の1曲目はこれだ。


『素直になれなくて』 」




     ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓


教訓👉確かに、とんでもなく高いところまで登ってます。




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ラジオ品川 99.92FM

Navigator クリス米村

『クリス米村のGO❗️GO❗️レインボー❗️〜今夜もパーリーしようぜ〜』

毎週木曜ほぼ21:30〜恋人たちが眠るまで









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