#自粛明けの話【1話完結!スーパー短編】
「こんばんは、クリス米村です。
やっと飲食店が普通に店を開けられるようになったみたいで、めでたいよな。
オレのところにもさっそく、「営業を再開しました! お待ちしてます!」なんて連絡が来てさ。
お店の人の元気いっぱいな様子が想像できて、オレもうれしいよ。
だけど、こういうふうに誘われたとき、リスナーのみんなはどうしてる?
お気に入りの店ならいい。
まったく問題ない。
だけど、そうじゃない店だってあるだろ。
たまたま入った店でさ。
お店のスタッフがわらわら集まってきて、頼みもしないのにサービスされて。
一応、親切にしてもらったから、お礼にサインを書いた。
感謝の気持ちはあるからさ。
そしたら、勝手に事務所の電話番号を調べて、連絡してきて。
サインを拡大して、店の看板として使っていいかって聞いてきやがる。
いいわけないだろ。
マジ、困る。
もちろん、よく通ってた店からも連絡が来た。
しばらく個室はとれそうもないから、落ち着いてから来てください、とか言ってたな。
自粛明けで、予約が殺到してるらしい。
それはそれで、めでたいと思う。
結局、そんなこんなで、マズい店・うまい店・クソみたいな店、いろいろあるけど、トータル約800軒から連絡が来た。
まいるね。
ぶっちゃけ、無理だ。
800軒だぜ。
1日2軒、食べに行っても、1年以上かかる。
そのうち、行った店と、行ってない店がわかんなくなって、最終的には外食しなくなるだろうな。
そりゃ、オレだって応援したいと思ってるさ。
この自粛期間は、ずっと大変だったろうし、これからも大変な時期が続くだろう。
だけど、800軒だぜ。
どうしろって言うんだ?
でも今回、なんとか協力しようってことで、ピックアップした3軒に料理を持ってきてもらった。
いい宣伝になるといいな。
それじゃあ、試食タイムといこう。
最初は中華の店、A軒。
餃子だ。
ここの餃子は、冷めてもうまいんだよな。
どれどれ……
あ、まあこんなもんだ。
安定してうまい。
すぐに味を思い出す。
この安定感を例えるなら、ワイングラスじゃなくて、ビールジョッキ。
バイクじゃなくて、車といった感じか。
2軒目は蕎麦の店、B庵だ。
香りがいいね。
これは新そば?
違うの?
ああ、そう。
その割にはいい香りだ。
オレの鼻が良すぎるのか。
では、さっそく……
うん。うまい。
いい感じのさわやかさだ。
このさわやかさを例えるなら、アメフトじゃなくて、ラグビー。
バラじゃなくて、コスモスといった感じだな。
さわやかだ。
3軒目はイタリアンの店、ラ・C。
店の定番ということで、バジルとトマトソースのパスタを持ってきてもらった。
フォークない?
スタッフ、フォークないの?
ないのか。
だったら、箸でもいい。
たまにはイタリアンを箸で食べるのもおつなもんだ。
お!
やっぱりうまいな。
トマトの旨味と酸味が、ちょうどいい具合にバランスがとれてる。
このバランスを例えるなら、加湿器じゃなくて、エアコン。
2階席じゃなくて、アリーナといった感じか。
バランスがいい。
リスナーにうまく伝わったかな?
いやー、オレばっかりうまいもんを食べて、申し訳ない。
話を聞いてるだけで、ヨダレが垂れてくるだろ?
この3軒、気が向いたら、みんなも行ってみてくれ。
オレも気が向いたら、行くと思う。
気が向いたらな。
だけど、行かなきゃいけないのが、800軒あるからな。
気が向くかな。
どうするかは、曲を流してる間に、考えるとしよう。
今夜の1発目は、これだ。
なんて言うかな。
オレの今の気分にドンピシャだ。
聴いてくれ。
『遠く彼方へ行きたい』 」
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教訓👉クリス米村さん、お疲れですか?
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ラジオ品川 99.92FM
Navigator クリス米村
『クリス米村のGO❗️GO❗️レインボー❗️〜今夜もパーリーしようぜ〜』
毎週木曜ほぼ21:30〜恋人たちが眠るまで
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