7-54【従姉妹《ジルとエリリュア》1】



従姉妹ジルとエリリュア1◇


 俺は急いで外に出る。

 拠点の扉を開けると、外ではルーファウスがエリリュアさん等、三人のエルフと太陽の様な笑顔で会話をしていた……いやコミュ強かよ!

 俺には出来そうにない対応に、引きりそうになりながらも声を掛ける。


「ル、ルーファウス、サンキュ!もういいよっ」


 ルーファウスは、客人である三人が外で待たされない様にと残ってくれていた。

 そこまではいいが、ここまでフレンドリーに会話が出来るなんて……前世の俺だったら友達になれなかっただろうな。悪いね卑屈ひくつで。

 今はそう思ってないんだからいいだろ別に。なぁ?


「あ、もうよろしいんですか、ミオくん」


「ああ、オッケーだ。ジルさんも会うってさ」


「……そうですか、よかった」


 その言葉に、エリリュアさんはホッと胸を撫で下ろす。

 笑顔で明るくしてても不安はあったんだろうな、ここまで来てから拒否られるのはキツイよ。

 それに連絡は出来ても、今まで会う事は叶わなかったんだろうし、いったいどれくらいぶりなんだろうか。数年って事は無いよな?エルフなんだし。


「じゃあエリリュアさん、部下のお二人も……どうぞどうぞ、狭いですけど」


 手を差し出して招く。


「はい、ではお邪魔します」

「「失礼します!」」


 エリリュアさんは少し緊張気味に、後ろの二人は輪をかけて緊張しながら返事をする。ああ、王女様と会うからかな……?


 案内すると、リビングではジルさんが立って待っていた。

 ミーティアは後方で、台所の方からひょこッと顔を出して確認していた。

 「やっぱり」……って顔をしてますねぇ。


「全然広いじゃないですか……――あ」


 エリリュアさんの入室した一言目はそれだった。

 そして、ジルさんを見つける。


「久しいわね、エリ」


「あ……従姉上あねうえ。お久しぶりにございます……えっと、突然の訪問……申し訳――」


「いいのよ。ミオに聞いた……悪かったわね、里に顔も出さずに連絡役ばかりをさせてしまって」


 意外だ……ジルさん、こんな感じの喋り方もするんだ。

 いつもは格好いい感じの喋り口調だけど、なんだかお姫様みたいじゃん。


「おいミオ、失礼だぞ」


「あれ……あはは、口にしてました?」


 ジト目で俺をにらむジルさんの顔はほんのりと赤かった。

 普段見せないような一面を見られて、少し恥ずかしかったかな?


「口にはしていないが、分かる」


「ははっ、ジルさんには敵わないなぁ」


 笑って誤魔化しておこう。そうしよう。


「それじゃあ……俺とルーファウスは部屋に行きますね。お三方も、ごゆっくりどうぞ」


 丁寧に頭を下げてルーファウスと共に部屋に向かう。

 途中でミーティアとも合流し、リビングにはエルフ族が四人、残されたのだった。

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