7-50【森の番人5】

申し訳ありません、7-50を更新ミスしておりました。先に7-51を更新してしまっていました。

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◇森の番人5◇


 ジルさんに会う事、それが従姉いとこ殿……エリリュアさんの目的か。

 何が原因かは知らないが、急用なのは理解した……けど、勝手に判断していいものか?

 ジルさんは訳があって、女王である母親の所に帰っていないんだろ?

 それが理由の一つとも考えられるし、俺の一存でこの人を拠点に連れて行ってもいいものか……どう思う、ウィズ。


『――どう思うもなにも、連れて行けばいいのでは?このエルフに敵意は感じません。同様に、後方に居る二名からもそのような気配は感じません……初めから、ジルリーネ・ランドグリーズへ会う為の口実として、ご主人様とルーファウス・オル・コルセスカが二人になるタイミングを待っていたのでしょう』


 そういうもんか?


 そう言えば、ここ数日は外に出るにもジルさんかミーティアが居たな。

 今日はルーファウスに付き合って魔物を倒す事にしたから二人だっただけで、もしかして数日前から見張られてたか?


「エリリュアさんがジルさん……あ、ジルリーネさんに会いたいのって――」


 俺がいちいち呼称を気にしていると、エリリュアさんが。


「いつもと同じ呼び方で構いませんよ。従姉上あねうえには貴殿の事も聞き及んでいます……そちらの少年は、存じませんが」


「そうですか、それじゃあ」


 なるほどね、事前に俺たち……俺やクラウ姉さんの事も連絡はしてあった、という事なんだな。

 ルーファウスはここ数日での加入だし、知らないのも無理はないか。

 でも、この人には事前に色々と知らせてあったって事は、もしかしてジルさん……逃亡先として、故郷に帰る事も考えてたのかな?


 そんな事を考えつつ、俺は言葉を続ける。


「――ジルさんに会いたいのって、女王陛下が関係してますか?」


「はい、先程も言いましたが……女王陛下に従姉上あねうえと連絡を取っていた事が知られてしまい、無理矢理にでも連れて来いとおどさ――ではなく、指令を受けまして」


 おどされてって言おうとしたよな、この人。

 ルーファウスもそれに気付いて苦笑いを浮かべているが、追及は無しだぞ。


「分かりました。事情は聴きませんけど……念の為に」


「はい」


 一番問題なのは、この人……いや、エルフ族全体が俺たちとどう関りを持とうとしているか、だ。


「じゃあ……言っておきます。もし……俺たちの邪魔や、俺の周囲に害が及ぶようなことが起きたら……」


「「!」」


 俺は天上人としての圧力プレッシャーを全開に放出して、言葉を紡ぐ。

 いや……これはもうおどしだな。


「――俺はあんたらを敵に回してでも、絶対に仲間を守る。例え誰が相手でも……だ」


 ごくりと……エリリュアさんの喉が鳴った。

 ルーファウスも固唾かたずを飲んで、そわそわしながらもこらえてくれた。


 さぁ……どう出る、森の番人さんよ。

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