6-71【試験1(ミオ視点)】



 ◇試験1(ミオ視点)◇


「ミオ・スクルーズ!こちらへっ」


 大きな声で名を呼ばれ、俺は少し恥ずかしさを感じながらも教官の前に。

 ランディ・ゴラサ教官……だったか。


「……うっす」


「Bクラス……対魔物クラス代表者は君だ。難易度は高いが、まぁ【アルキレシィ】を倒した君ならば余裕だろう」


 教官は書類を俺に渡しながら、ニヤリと笑う。

 この人……わざと他の生徒に聞こえるように大声で言いやがったな?


 そんな教官の言葉に、他の生徒たちがく。

 「噂は本当だったのか」「す、すげぇ」「マジかよ……」などなど。

 中には「カッコイイっ」「素敵」なんて言う黄色い声もあった。

 うんうん……こう言うのも悪くはないな。


「うっ……!」


 悪寒がしました。


『背後から、ミーティア・クロスヴァーデンの視線を感知。刺して来ています』


 知ってる!!絶賛身をって感じてるよ!!畜生ちくしょう!!

 同じクラスだもんな、そりゃいるよ!イリアもな!


「どうした?ミオ・スクルーズ」


「いえ……善処します、はい」


 書類を受け取り、それからは各々行動開始だ。

 俺はミーティアとイリアに視線だけを送り、エールを込めた。

 二人も俺に視線を返し、順番を待っている。


「さて。行くか」


 書類を確認。

 内容は……【エイムザール】十五体の討伐、か。


『検索完了しました。【エイムザール】は……【リードンセルク王国】中央部、【ステラダ】の北部の渓谷けいこくに生息する……猿です』


 猿ですか……まさか、エイムザールって事は無いよな?


『……ふっ……』


 こいつ……鼻で笑いやがった。


『【エイムザール】は人間を襲うタイプの魔物です。特に女性は注意が必要のようですね』


 なるほど、半魚人の魔物【サミダーク】と同じタイプか。

 ミーティアとイリアはこんな試験内容じゃないよな……不安だ。


 そんな不安を感じつつも、俺は外に出て……【紫電しでん】で移動を開始する。

 端的に言えば、個人で移動する分にはマジで楽だ。


 【ステラダ】の北部……王都の近くだったっけ、その渓谷けいこく


『はい。【リードンセルク王国】の【王都カルセダ】から南西に二キロメートルの位置に存在します。渓谷けいこくの名は……【ジャン渓谷けいこく】です』


 【紫電しでん】で移動すればあっと言う間。

 身体への負担はあるけど、天上人に【超越ちょうえつ】したから余裕で耐えられる。

 身体能力の上振りがヤバいんだよな……


『着きます』


「おっし……!」


 ものの十数分で、目的地へ到達だ。

 これなら村にも定期的に帰れるかも……一人なら。


「さてと……【エイムザール】を探しますかね。数は十五体、あんま居ないのかもな」


 それにしても、この渓谷けいこく……景色最高じゃないか。

 渓流も流れていて、木製の橋も掛かってる。

 日本で言えばレジャースポット見たいな場所かもな……そんな場所に魔物がいるんだから、異世界なんだろうけど。


『発見しました。数は……四体』


「おっ……早速か。よし……それじゃあ中間試験、行きますかっ!!」


 俺は【カラドボルグ】を右手に出現させて、走り出した。

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