3-50【皆で朝食を1】
◇皆で朝食を1◇
外にいるアイシアは、ご機嫌で野菜に水をあげていた。
だから俺も手伝おうかなぁ……と思って。
「――アイシアっ」
声を掛けた――のだが。
「……ふっふ~ん♪――わぁぁぁっ!」
跳んだ。アイシアが跳んだわ。
ご、ごめん、ビックリしたか。
機嫌よさそうに鼻歌歌ってたのに、
「――よっと」
アイシアが
3
「ミ、ミオ~……ビックリしたよぉ」
「ご、ごめんって。そこまで
スクルーズ家のだけどな。
「う、うん。いいのは台所に置いてあるよ」
「ああ。見たから来たんだ……ほらっ」
「……うん」
俺はアイシアの手を取って起き上がらせる。
ビックリして尻餅をついていたからな。
「……そう言えば、ミーティアが来てるんでしょ?あそこ」
「あー、うん……
俺はアイシアに
アイシアは多分、自分のお母さん……リュナさんから聞いたんだな。
その日はリュナさん、うちにいたし。
そう言えば、昨日はいなかったけど……アイシアは何をしてたんだ?
「この村に住むんだってね……大丈夫なの?」
「……どうかな。本人は楽しみらしいけど。でも個人的じゃないよ……仕事が中心だからさ」
「うん、聞いた……農園従業員の管理をしてくれるんだってね」
そうだ。ミーティアの仕事とは、これから増える従業員の管理だ。
父さんとリュナさんが共同で経営する【スクルーズロクッサ農園】。
うちの野菜は、今や隣国……【リードンセルク王国】中で大人気だ。
収穫量も多く品質も最高、しかも季節や
当然バカ売れであり、こちらの収穫が追い付かないほどになっていた。
そこで父さんが打診したのが、従業員の増員だ。
ミーティアの父、【クロスヴァーデン商会】の会長さんがこれを引き受けてくれて、近いうちに【ステラダ】から働き口を探していた若い人たちが来る予定なのだ。
ミーティアは、その管理人をしてくれる。
期間はそれほど長くなく、落ち着くまでらしいけど……いつまでと言う期間はまだ不透明なんだとか。
「怒ってる?」
アイシアには何も言わなかったもんな。
でも、その日まで俺も知らなかったんだぞ?
「え?怒ってないよ~……ビックリはしたけど、でも大事だと思ったから。わたしも賛成」
笑顔で受け入れるアイシア。
本当に……いい子だな。
「そう言えば、この家に
「え……いや、
だよなぁ。
家が一夜で建ってたら、そりゃあ
まるで一夜城……規模は全然だけどな。
どうでもいい話や昨日の話、さりげない情報のやり取り。
そんな俺とアイシアののんびりとしたひとときに……先ほど話の的だった人物が。
「――あ、ミオ……アイシア」
カチャリ――と、急造で建てた家から出てくる、青髪の女の子。
「……ミーティア。おはよう」
「おはよう、ミーティア」
寝癖をササッ――と直しながら、恥ずかしそうに笑う。
そうか、俺が外に出てるとは思わなかったんだな。
油断したなミーティア、その可愛い仕草……目に焼き付けたから。
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