2-49【実のなる木だった】
◇実のなる木だった◇
「デ、デケェェェ……」
「わ、わぁぁぁ……」
俺とアイシアは、その成長した芽を、文字通り
能力【
その状態で、俺はようやく【
「なんだこの木……実が
その木は、緑色の実を
木の大きさは俺よりも大きく、枝分かれの根元は位置が低い感じで、完全な大木ではない。高さは5
多分だけど、この緑色の実が
――
「ねぇミオ、この緑色の実って……食べられるのかなぁ?」
クンクンと、不審そうに匂いを嗅ぐアイシア。
多分、匂いはないんじゃないかな……確か。
「食べれると……思うよ?」
俺は若干の配慮をして、言葉を選ぶ。
断言をしてしまうと、俺がこの実を知っていたと思われてしまうからな。
だから
同じ転生者であるクラウ姉さんなら、絶対に知っているであろうその緑色の実を、俺はブチッ――と、もぎ取る。
本当は、こんな風に乱暴にしてはいけない。
「……どうしよう」
半分に割るんだよな。これ。
つーか、確か数年かかる植物だったよなぁ。
それがこの一瞬で木まで成長して、実まで
しかも種からって……異世界恐るべしだな、まったく。
いや……恐るべしは、【
「よ、よし。ミオ、試しに切ってみる?」
「うん、そうだね……あ、でもナイフが無いよ」
そうだったな。
「――大丈夫。持ってる」
アイシアが
「!!」
ズキン――!
怖えぇぇぇぇ!!心臓ビクってなったぞ!
も、持ってんの!?なんで!?何のために!!
「はい、実を貸して?」
「あ、うん……」
そんな笑顔で言われても、
しかし本能的に、俺はアイシアに持っていた実を差し出していた。
それにしても、なんだろうな。
ナイフを見るのが怖い、身体の芯が震えるようだ……
「……あ、あれ……か、硬いなぁ」
テーブルの上で、緑色の実を切ろうとするアイシア。
そうなんだよ。その実にはな、真ん中に大きな種があるんだ。
さっき植えたくらいの大きな種がさ。
そうさ。もう分かるだろ?この緑色の実は――森のバター……アボカドだよ。
「……」
何で、こんな山の中にアボカドの種が一つだけ落ちていたんだろうか。
それらしい木も近くにはないし……
しかも、アボカドって確か、熱帯地域の植物だよな?
それでもこんな所に
この能力があれば……種や苗さえ手に入れば、何でも育てられる気がする。
しかもあっと言う間に。だってアボカドの成長は五~六年。もっとかかるんだろ?
それがこんな……数分で
ふ、普通に農作業している農家さんに申し訳ねぇ……
ガスンッ――!
「――あぁ!わ、割れたあぁぁぁ~!」
アイシアが申し訳なさそうに俺を見るが。
「だ、大丈夫だよ。割れても」
その通り。だって、こんなにあるんだからな。
俺は頭上を見上げて、生い茂るアボカドの木、そしてその実を見やり。
「どうしようか……これ」
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