2-22【凄く、凄く田舎だよ?3】



◇凄く、凄く田舎だよ?3◇


 この子は、家に帰りたいんだろうか。

 なんだか、余りそういう風には見えないんだよな。

 奴隷どれいにされてたって事を、友達とかに知られたくない……とかかな?

 いや、でも両親だって心配してるはずだし……早めに帰してやらないいけないよな。


「――ミーティアさんは、【リードンセルク王国】の方なんですよね?」


「え?……ええ、そうです」


 あれ?国の事興味きょうみなし?

 その話をするの?みたいな感じの顔だけど。

 聞いたのは君だよね?


「今、早めに連絡を付けれるようにしています。でも、多分距離的に数日……は掛かると思います。少しの間ですけど、我慢がまんして頂けますか?」


 そうだよな……こんな何もないド田舎だ、俺だって……まさかこんな所に転生するとは思わなかったんだから。

 現地民でさえド田舎だって自覚ありなんだ……他国の人間からすれば、超超ド田舎だろうよ。


「あ……はい。うん、分かった。えっと……ミ、ミオくん……」


 照れながら、俺を見上げて言うミーティアさん。

 お~。可愛い!!――じゃなくて!


「はい!えっと……ミーティアさん」


 ミーティアって凄い名前だよな。意味的には、隕石いんせきとか流星とかだったよな、確か。


 でも、何て言うか……うん、なんだろうな。

 正直、綺麗だと思った。

 名は体を表すって言うけど……ミーティアさんの髪が、その瞳が……流れゆく流星のように……流れ星のように、手を伸ばしたくなる存在だと、この時俺は思ったんだ。





 ど、どうしよう。彼が行ってしまう。

 用事があるのか、急いでいる様にも見えて……私は内心あせっていた。

 だからきっと、そんな事を言ってしまったんだと思う。

 考えれば分かる事を……感情に任せて言ってしまった自分を、私は恥じる。


「――あ、あの!!」


「――え?」

「……?」


 声をかけちゃった……緊張のせいで、結構な声量だったかもしれない。

 レインさんもおどろいてるし。


 どうしよう……わ、私、なんで急に声をかけちゃったんだろう――って!!よく見たら私……彼のそでつかんでるじゃないっ!!


 まだ、どこかに行くだなんて言ってもいないのに!

 さ、先走った……もう、死ぬほど恥ずかしい。


「ミーティアさん?どうかしましたか?」


「えっと……私」


 な、なんて言おう。

 引き留めてしまった手前、何か言わないと。


「わ……」


「「わ?」」


「私を……この村に置いてくださいっ!!」


 今、なんて言った?……私。


「「――ええっ!!」」


 それはそう。おどろく。

 自分で言ってなんだけど、私もおどろいてる。


「こ、こんなド田舎ですよっ!?」

「そ、そうよ!?なにもない田舎よ!?」


 二人があせりだした。

 そこまであせるような事なのかしら。

 いや……でもそうなのでしょうね。


 私は他国の人間だし、簡単には受け入れられる訳はない。

 当たり前のことを、私は突飛とっぴに言い出したのだ。

 小娘の自分勝手わがままな発言……これではあの二人の事を言えない。と、自分で言ってて恥ずかしくなった。

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