第1章 和希と生徒会との戦い

第1話 風馬、ヤンキーになる

 中原風馬。中学3年生。勉強熱心で、努力家の真面目な生徒。

上橋直樹。中3。お調子者で、トラブルメーカーな友達思い。風馬と仲がいい。

この2人は、実に対照的な親友だ。幼稚園の頃から一緒で、2人はいつも一緒に

いた。中学生になってからも、この関係が変わることはなかった。あの日までは。

 「今日の数学すごいムズかったんだけど・・・。美術も、理科も。学校やだな。

さぼりたいよ」

風馬は、最近は、苦手強化が多い。「疾風大乱」という、ゲームにハマり、勉強を

しなくなったのも原因だった。学校をさぼりたい。これが今の願いだった。

「それじゃあ、さぼればいいじゃん」

「えっ?いくらなんでも、さぼれるわけないじゃん。何言ってんの」

「いや、さぼれるさ。海賊軍団に入ればね。なあ風馬。一緒に入らないか?」

「なんだって?!ヤンキーになるってこと?」

海賊軍団とは、この中村夢島学園のさぼり組だ。学校の授業が嫌いで、決闘を好む

血気盛んなヤンキー軍団だ。確かに、ヤンキーは、暴力がヤバいから、入れば

授業をさぼって、遊びまわることができる。それなら最高だ!だが、だからといって

そんな簡単な理由で、ヤンキーになったら、一体どうなるのだろう。

「なあ、俺ずっと考えてたんだよ。学校が嫌いになってきた風馬がどうすればこの

とんでもない大きさのストレスを解消できるか。それで考えたのがこれなんだ」

直樹・・・。親友の僕のことを思って自分までヤンキーになる決意までしてくれた

なんてぇ~。でも、当の自分が納得しなければ、なることはない。

「お願い!親友からのお願いだ!ヤンキーになれば色々楽になるよ!」

「でも、後々ヤバいんじゃね?」

「それなら、今の状態のままずっといるか?」

「そ、それは確かに・・・」

なんだ。お前がなりたかったのかよ。そんな変わり者が親友だったんだな。でも、

確かに直樹の言う通り、ここでずっと考えたらストレスが増えるだけだ。そうなると

僕はうつ病にでもなって自殺でもするんじゃ・・・?

「よし、分かったよ。それじゃあ、行くか?でも、どこにいるの?」

「実はね。あそこにいるらしいんだ・・・!」

「ええっ?!あそこにいるの?」

これはヤバいぞヤバい。どこにいるのかと言えば、すぐ近くの、60年前にあった

旧校舎だ。クモの巣をかぶってるとこばかりだし、何より暗くて怖い。

「よし、行くぞ!」

「えっ?ちょっと待ってよ!」

だが、そんなことを聞かずに、直樹に引っ張られて、旧校舎へ向かった。

 「あんたらが、新しく我ら海賊軍団に入りたいやつか」。

うわぁ~、えぐいよ。この空気。髪型も服装もヤバいやつらが、こっちを上から

目線でにらんでるんだけど。怖い・・・。

「よし分かった。いいだろう。俺の名前は、リーダーの武田宏太だ」

そして、宏太から、次々と、たくさんのヤンキーが自己紹介をしていった。これから

僕と直樹の新しい学園生活が始まるんだな・・・。覚悟を決めたのだった。

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