小説家の日常
バブみ道日丿宮組
お題:小説家の電撃 制限時間:15分
小説家の日常
「まさにそれは電撃結婚と言えるものだろう」
「どうしたの? 急に? 妊娠でもした?」
「僕が孕むわけないじゃないか。バカにしてない?」
「でも、結婚っていったら、赤ちゃんじゃない?」
「結婚しても子どもを作らない夫婦だっているよ。僕たちだってそうじゃないか。だからといって、僕が妊娠するようなことはないけどさ」
「できる関係じゃないからでしょ。それで続きは書けたの?」
「うーん、いまいちかな。ソシャゲのレイド戦の間に色々考えてるんだけどさ」
「スマホ取り上げようか?」
「それはやめて。いい案が浮かんだときにメモするのに使うから!」
「パソコンにそのまま書けばいいじゃない」
「それができるなら一番いいんだけどさ。アイディア出しだとどうしても進まないんだ。だから、何かをしながら要素を集めるのが一番効率がいい」
「そうなの? そういうのよくわからないからあれだけど」
「理解できる伴侶を持ちたかった」
「じゃぁ、別れる?」
「やだ。絶対やだ! 今更独り身なんて悲しすぎる。百合作家の異名もなくなってしまうし……」
「だよね。あなただいぶ子どもっぽいから相手見つけるのも大変だし、日常生活も苦労してるものね」
「ありがとう。僕が何もできないばかりに……。えっちだっていつもされるがままで僕は何もできてない。ごめんなさい」
「小説書けてるんだからいいじゃない。それで生計が成り立ってるなら、誰も文句は言わないよ」
「でも、でもさ……それでもお義父さんはいい顔してないよね」
「それはあなたと私が同性で結婚したからだと思うよ」
「……そうかな」
「お父さん。あれでもだいぶ折れたほうだよ。昔だったら、絶対別れさせられたよ」
「そうなの? なら……よかったかな。僕、君に会えてなかったら、数日で死んでたよ」
「よく大学生になれたよね」
「……それは言わないお約束だよ」
「高校の制服着てるところ、また見たいな」
「……見ても面白くないよ。凡人というか、男子が女装してるようにしかみえないし」
「そういうのが可愛いってわかんないかなぁ」
「わからないかなぁ」
「小説にそういうのに入れてるのに、本人が自覚ないってのはどうなんだろう」
「客観的に見るのと、主観的に見るのではだいぶ違うよ」
「そういうものかなぁ」
「うん。あっ、浮かんだから、作業に戻るね?」
「頑張ってね。おやつ用意しておくから」
小説家の日常 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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