【戯曲】悲しくて

容原静

一景

一景


都市

交差点

舞台床は黒

床面に白く交差する線

真ん中に飄々としたスーツ姿の中年男グリフォン

中年の周りを通過していく人々

5分ほど別の脚本のストーリーが複数進行する

バックに文字がうたれていく


⭐︎⭐︎⭐︎

暇つぶしにルービックキューブをする。

有限な時間を如何に使うか。最善に世界を変えたければもう少し良い行いがあるだろう。

しかし俺は暇を作ってしまうのだ。暇を潰さなければ、考えなくてもいいことを考えて、不必要な行動をして総てを台無しにしてしまう。

自分の為に暇つぶしをする。

ルービックキューブ。

これがなければ俺は俺でなくなってしまう。

⭐︎⭐︎⭐︎


文字が総て打ち終わる前に急に中年以外舞台袖に駆け抜ける。

トラックが近づく音

急ブレーキ

衝動音


群衆1 誰か救急車。

群衆2 いやー。


叫び声,ざわめき


グリフォン 俺は何も出来ずに去った。本当に何も出来ずに。


暗転

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