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「ビリビリ? これ?」
「あ、雷? 雷は分かるの?」
「うん。これは魔方陣を描ける人なら大体出来るし、学校の音楽会でもステージを照らしてくれたのが雷の術を使うモンスターだったから、みんなも分かると思うよ?」
「そうだったの?! 昨日はさ、もうこういう基本的な事でつまずいて話が進まなくてさー、ああ良かったー! よし、電車でいこう、子供は多分好きだと思う!」
「良かった?」
「ん? うん、ビーンさんもゼロさんも僧侶さんも魔王様も、みんな一生懸命聞いてくれるのに説明下手クソ過ぎで申し訳なかったんだよね。ありがとう薬草。みんなが薬草を大事にしてる理由、分かった気がする」
「えへへ」
「なんか小さくてカワイイし」
「可愛いだろう、薬草姿も可愛いだろう、勘が良くて気が利いて可愛いらしくて可愛くて賢いんだよ薬草は」
「わあ」
「マジっすか」
「そうか雷で良かったのか。薬草が前にビリビリと言っていたから思い付きはしたが、これがまさかタイチの世界でそんなに重宝されているとは想像も付かなかった。痺れるだけでは無かったのか。口を出せば良かったな」
タイチには魔王様の突然の薬草可愛い攻撃にも慣れてもらわなきゃ。
それよりオレの魔方陣が役に立ちそうだ。またタイチに魔力を渡して、作りながらお話をしてもらえば良いかも。うふふってなる。
でんしゃ、楽しみだな。
遠くでキラキラしてる海。ポセイドン君は元気かな、学校に着いたらセイレーンさんかローレライさんに聞いてみよう。
向こうには王様のお城、右の手首に薔薇のブレスレット、ブラウンさんにお土産を持って行かなきゃ。
そうだ、サメの歯。お仕事をして硬貨をもらったら受け取りに行かなきゃ。
左手の薬指で指輪がキラッて光る。早くオレの花を咲かせて種を作らなきゃ、きっと待ってる人がいる。
それに魔王様の子供という存在が面白いし、他の方法があったとしてもオレが生み出してあげたい。タイチとお話ししてる横顔をチラッと……咲くかも知れないな。
えっと、やる事いっぱい。死ぬ前にも色々考えてたから一つずつ……とりあえず学校だ。
ジャンはまだ歩いてるかな? もう学校に着いちゃったかな? いたら乗せてあげよう。
タイチの事を教えてあげたら、きっと……。
パキョッと聞いた事の無い変な音がした。
ピンッと空気が張って知らない匂いがドバッと流れ込んできた。
――……ユラッと世界が揺れる。
「……魔王様? なにこれ?」
「薬草、防御だ守れ!」
「はい!」
「離れるな!」
魔王様とタイチ、オレの間に黒い壁が出来た。
離れるなと言われて伸ばした左手が
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