ガンギマってなんぼの人生

シヨゥ

第1話

 生きれば生きるほどに生きる意味が分からなくなっていく。

 大枠で言えばきっと人という種族を残すためだろう。だが、こんなに増えすぎた人のために子供を作ろうと思うだろうか。ぼくの見解としてはノーだ。

 金を稼ぐためだろうか。いや違うだろう。稼いだところで日本が転覆したら日本円なんて紙切れに過ぎない。ましてや世界が崩壊して文明が後退したらどうだ。通貨なんて概念が消え去る恐れすらある。

 じゃあ何のために生きるのだろうか。


「生きる理由? そんなつまんないこと考えているんか」

 ぼくは地元の姉貴分に質問してみた。

「そんなん決まってんよ。気持ちいいことするためさね」

「気持ちいこと」

「そう。セックス、ギャンブル、ドラッグなんだっていい。やってて気持ちいことするために人は生きているんさ」

「なんか自己満足なもんばかり例に挙げ取るけどそれでいいの?」

「気持ちいいことなんて全部自己満足さね。人助けだってそうさ。誰かのためとか建前を並べるが、けっきょく助けた自分かっこいいって酔いしれるためにやるもんだ」

「なるほど」

「生きる理由がねぇ奴は欲求不満なんだ。お前もそうさ。なにかでキマってないからそうやって馬鹿みたいに悩む。男ならいきり立て。ガンギマってなんぼの人生だ」

 姉貴はぼくの股間をたたくと颯爽とバイクにまたがりどこかへと消えていった。


 けっきょく答えは姉貴からは答えが得られなかった。

 もしかしたら答えなんてないのかもしれない。

 とりあえず気持ちいいことを探しにぼくは歓楽街へとやってきた。

 根本的に何かが違う気がするがとりあえずこの悶々とした気持ちは発散できる気がする。

 もし発散出来たらそれが答えなのかもしれない。答えはいずこに。ぼくは歓楽街の闇へと身を投じていくのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ガンギマってなんぼの人生 シヨゥ @Shiyoxu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る