第28話 体育祭 〜競技決め〜
夏は完全に終わって気温もだんだんと寒くなってきている。
それでも暑い日もたまにあるが、じわじわと季節が秋に近づいてきていた。
昼休み、蓮と橘と、俺の席で机を囲んでダラダラ話していた。
橘と付き合ってるのがバレる前は3人で集まったりしなかったけど、
バレてからは隠しても仕方ないので昼休みはこうして3人で集まっている。
・・・昼休み、いつもは橘は梅澤たちと集まっていたけど、あの一件以来それもなくなった。
橘と梅澤は仲が悪くなったわけではないと思うが、2人の間には微妙な空気が流れている。
まあ梅澤からしたら、自分がいじめてたやつと自分の親友が付き合ってたらどう接すればいいかわからないか。
橘と梅澤の問題も解決しないといけないな。
今日の朝に配られた体育祭に関してのプリントを3人で見る。
明日から体育祭の準備に入る。
うちの高校は体育祭とか文化祭とかのイベントごとになぜか力を入れていて、
多分他の高校よりも練習時間とか準備期間が長い。
そのせいか地域からの注目も高く、高校の行事と思えないほどの観客が来る。
特に体育祭は注目されていて、他の高校ではあまり無い「棒倒し」がある。
棒倒しのルールは簡単で、まず数十人ぐらいが棒を支える。
その支えられている棒を数十人で飛びかかって倒す。
これだけ、でもめっちゃ危険。
よくこの時代にこんな危ない競技やってるな。
防衛大学とかがやるやつだろこれ。
なんでこんな普通の高校で・・・
でも棒倒し出場は強制ではなく、全ての生徒が出場する100m走とかクラス対抗以外は自分で出場する競技を選択することができる。
棒倒しの他にも障害物競走とか騎馬戦とかがある。
今日の朝に配られたプリントに何に出たいか書いて提出しないといけない。
「なあ一馬、棒倒し出ようぜ」
「危ないんじゃない?」
「いいじゃん出よーぜ!」
「大丈夫かな?」
「大丈夫だって!」
実は棒倒しに興味はあった。
棒を支える方は絶対嫌だけど、飛びかかる方はちょっとやってみたかった。
俺は出たい競技に棒倒しと書いた。
ということで体育祭で俺が出るのは、
100m走、棒倒し、1年のクラス対抗の綱引き、
と最後に部活対抗リレーか。
美術部は男子が少なくて、俺と蓮は美術部代表としてリレーに出ることに。
ちなみに蓮と橘は正式に美術部に入った。
俺は美術部代表としてリレーに出れるのがちょっと嬉しかった。
美術部はそんなに部員数が多いわけではない。
それが理由か、部員同士の仲間意識が強いように感じる。
蓮と橘も美術部に入って上手くやってるし、俺以外の部員と仲良く話しているような所も見たことがある。
なんか美術部全員が仲間として応援してくれるのが嬉しかった。
「そういえば橘は何に出るの?」
「私は障害物競争」
「へー、障害ってどんなのあるんだろ?」
「んー、ハードルとか網くぐるやつじゃない?っていうか私たちって何色?」
橘はまだ自分たちが何色か知らないのか。
「俺ら赤だろ?」
蓮が答える。
「赤なんだ。そういえば1年のクラス対抗の綱引き、最初は赤対青らしいよ」
橘がそう言った。
もう組み合わせが決まってるのか。
「マジか!青って例の橘の友達がいるところじゃん」
あー、蓮、それは今はあんまり言っちゃダメだな。
今は橘と梅澤は、変なことになってるから。
デリカシーのないヤツめ。
「あー、そうだね」
橘が気にしていない風に答える。
よかった、なんとも思ってなさそうだ。
でも体育祭がきっかけで前みたいな関係に戻って欲しいな。
俺の心配は棒倒しと美術部の代表として出る部活対抗リレーだな。
でもなんだかんだ楽しそう。
高校生になって初めての体育祭。
こういう3人での他愛もない話し合いも含めて、準備から本番まで体育祭を楽しもう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます