第135話 装備作成
「レッドドラゴンを一撃とは…流石ダグラス様です!!」
「ありがとう。そんなことよりグレイ!!親交を深めることになっていたかもしれない相手に初対面で侮辱するな!!今回は結果的に良かったけど以後気を付けろよ?」
「しかし…我々が下手に出たら舐められます。」
「それは…って!!せっかく無傷で倒したのに素材が落ちてるじゃん!!!」
俺は急いで地面に”転移”し、落ちてきたレッドドラゴンの死体を”アイテムボックス”に収納した。
体長30mは優に超えているので、十分に素材を得られた。
『危なかった…レッドドラゴンとの戦いより焦ったな…』
「流石です。」
「…グレイ、今度から俺が声をかけることにするよ。」
「いやしかし…」
「いいな?」
「…かしこまりました。」
グレイは自分の仕事を奪われたからか、酷く落ち込んだ表情を見せた。
「あー…その…なんだ。グレイ、次もよろしくな。」
「…っ!!はい!!お任せください!!」
励ませられたようで良かった。
しかし、なぜかグレイの熱情はこれからも空回りしていくような気がする。
「…帰ろうか。」
俺はウキウキになっているグレイを連れて玉座に”転移”した。
「よく戻ったの!!それにしても随分早かったようじゃが…」
「知性無しを探さず一匹目で終わったからな。」
「なるほどの!!それは運が良かったの!!」
「ああ!」
今更だが、あのレッドドラゴンは言動から察するに巨人魔王候補者と繋がっていたのだろう。
類は友を呼ぶというが、本当だったようだ。
「そろそろ装備製作に入る。終わるまで誰も玉座に入れないようにしてくれ。」
「はっ!頑張ってください。」
「頑張るんじゃぞ!」
「ありがとう。」
製作自体は人に見られながらでもできるのだが、エンチャントを付与するときにどうしても集中できないのだ。
マルコ曰く、エンチャントに失敗すると稀に装備が壊れることがあるらしいのでそれを避けたいのだ。
とりあえずレッドドラゴンの死体を”アイテムボックス”内で”解体”した。
解体した素材を”鑑定”すると、品質は採れたてなだけあって最高だ。
『これなら最高の装備が作れそうだな…!!…よし、始めるか!!』
まずは鎧を作るべく、大量のレッドドラゴンの鱗を取り出した。
”鍛冶”と”錬金”の融合スキル”錬成”のおかげで、魔力を込めるだけで形を自由に変形できる。
『まずはこの鱗に魔力を通して…柔らかくなったところを…』
結果、以前Aランク素材とはいえ鎧を製作したことがあったこともありスムーズに進み、一時間半ほどで終わった。
しかし、流石に配下何十人分の装備を作るのは流石に骨が折れた。
『次はエンチャントか…集中しないとな。』
意識を自分の体内に向けるように心を抑制し、冷静を保った。
付与するエンチャントは鎧を作りながら決めてある。
”自動修復S”と”耐久力S”、”衝撃耐性S”、”ダメージ軽減S”を付与する予定だ。
俺の”付与師エンチャンター”の能力ではSSのエンチャントまで付与できる。
しかし、レッドドラゴンの鱗はSランク素材なので素材より高ランクの付与はできないのだ。
『ふぅ…始めよう。』
レッドドラゴンの鱗は海龍のよりは劣っているが、魔力の通りが良い性質だった。
そのため、一時間ほどで作業を終えた。
『…よしっ!!残りはレッドドラゴンの皮で作る防具か…!!』
まだ集中力が続いていたので、休まずそのまま続けた。
皮で物を作るにはまず加工して革にし、その後縫う必要がある。
加工は”錬成”で行うが、縫うのは不得意なので”裁縫S”を習得した。
『鱗と同じように皮に魔力を通して…それから…』
結果、ローブの方が断然楽だった。
おそらく数十分で作業を終えられただろう。
ローブのエンチャントについて、”自動修復S”と”耐久力S”、”衝撃耐性S”、”ダメージ耐性S"を付与したあとウィザード用には”魔法威力上昇S”を、アサシンには気配遮断S”を付与した。
『完璧だな!!…いや、嘘だわ。』
製作を終えた防具を並べて気づいたことがある。
それは、まさに赤一色に染まっていることだ。
そして赤単色で、デザインが皆無だということだ。
『アサシンとかいくら”気配遮断”しても派手な色で見つかりそうだな…』
色は塗り替えるとして、デザインはどうしようか。
ヴァルハラのシンボルマークを考え、それを描くことにしよう。
それから時間をかけて考え、ついにシンボルマークを思いついた。
そして数十分かけて染色と描写を終え、そのまま疲れて寝落ちした。
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