第103話 パーティー活動第1歩

翌朝




「ん…ダグラスおはよう…」




「おはよう。」




寝起きでまだ目が覚めていないリヴェリアもかわいい。


髪が少しぼさぼさになっていて服がずれ、豊満な胸の谷間が顔を出している。




「…っ!!」




見たら穢してしまうような気がしたので必死に視線をそらした。




「リヴェリア様、こちらへどうぞ!」




それから優雅に朝食をとり、それぞれの部屋に戻って支度をした。




『そういえば”二刀流”とか”魔法武闘士”とかあまり使ってないなぁ…』




多くのスキルを習得しているのはいいが、広く浅くになっているのでもっと深く習熟度を上げたい。


せっかくなので今日のカルキノス討伐では”二刀流”と”魔法武闘士”を行使しようと思う。




「お待たせ!沼地の前まで競争しない?」




「分かった。」




「行くよ!よーいドン!」




リヴェリアは高速で走りながら身体強化魔法の詠唱をしている。


師匠曰く、動きながらの詠唱はなかなか難しいらしい。




対する俺は”無詠唱”のスキルを行使して身体強化を施し、一気に差をつけた。


ついでに風属性魔法で追い風を作り、更に速度を上げた。




「なっ!!」




結果、結構な差をつけて俺が先に着いた。




「ダグラスもしかして”無詠唱”のスキル習得してるの!?」




「ああ。まぁ一応。」




「すごいわ!なかなかレアだもの!」




「ありがとう。」




「そろそろ切り替えるわ。あと徒歩数分で沼地が見えてくるはずよ。」




「了解!じゃあ今バフかけておこうか!」




俺は魔物スキルを含めてすべてのバフをかけ、そして装備を整えた。


海王の盾ではなく両手に海王の片手剣を装備した。




「ダグラス二刀流も使えるの!?」




「まぁね。ただ実戦は初めてだけど。」




「そうなのね!じゃあカルキノスに二刀流で対抗できるか様子見がてら私が先行するわ。」




「分かった。ありがとう!」




「ええ!じゃあ行きましょうか。」




そして間もなく沼地に着いた。


沼の深くから禍々しい気配を感じ、鳥肌が立った。




”レーダー”で調べてみると、カルキノスで間違いなかった。


ステータスもリヴェリアの情報通りだ。




「じゃあリヴェリア、気を付けて!」




「ええ!行ってくるわ!」




カルキノスはまだ俺たちに気づいていないようで、未だ沼の底でじっとしている。




「火よ、我が宿敵を焼き尽くせ!ファイヤーメテオ!!!」




”詠唱省略”のユニークスキルのおかげで詠唱は1行で済むようだ。




聞いた話によると、魔法の詠唱は上位ランクになればなるほど詠唱量が多くなるらしい。


よって、”無詠唱”や”詠唱省略”は魔法師相手に特攻なのだ。




沼に向かってSランク火属性魔法を行使すると、大きな地響きとともにカルキノスが動き出した。




「ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…」




地鳴りのようなうめき声が聞こえてくる。


その声が近づいてくるにつれて沼が大きく盛り上がり、カルキノスの姿が露わになった。




『なっ!?』




俺が驚いたのはその体長だ。


縦20m、横80mくらいの超大型生物だったのだ。




「火よ、我が宿敵を焼き尽くせ!ファイヤーメテオ!!!」




リヴェリアは場慣れしているからか、全く動揺せずに攻撃を続けている。


既に外骨格の一部が砕け、中身が見えている。




「風よ、我が宿敵を切り裂け!ウィンドカッター!!!」




おそらく足を斬り落とす算段だったのだろうが、外骨格が削れただけで致命傷にならなかった。


しかし、リヴェリアに焦りの色は見られない。




「風よ、我が宿敵を切り裂け!ウィンドカッター!!!」




魔力操作が的確で、先程ウインドカッターを当てた場所と全く同じ場所に2回目を当てた。


おそらく1mmもずれていないだろう。




何回かそのハサミで攻撃してきたが難なくかわして攻撃を続け、足を4本斬り落とした。




「ダグラス、交代よ!!」




「了解!」




俺もリヴェリアと同じように魔法で攻撃してもいいが、関節を狙った斬撃の方が有効だろう。


よって、”二刀流”と”魔法武闘士”を行使して魔法付与した二刀流スタイルで挑む。




”転移”でカルキノスの足元に移動し、片手剣スキルB”レイドジェノス”を両方の剣で行使した。


すると、バフの効果もあって2撃で足を1本斬り落とせた。




「よし!!この調子だ!!」




そう思い、次の攻撃に転じようとしていると”危険察知”の警鐘がかすかに鳴った。


カルキノスを見てみると、口元に魔力が集まって泡が生成されている。




「ブレスが来る!!」




ブレスがどのくらいの威力かわからないため、できれば行使させたくない。


俺はカルキノスの口内に結界魔法S”絶対不可侵結界”を展開した。




すると次の瞬間、ブレスが体内で暴発して粉々になった。




『…まじか。あのブレスを放出させていたら後ろにある武闘国家が無傷では済まなかったかもな…』




「ダグラス、結界魔法も使えるの…?」




「ああ。一応。」




「…ほんとにすごいわね。」




「ありがとう。」




「とりあえずカルキノス討伐はこれで終わりよ。お疲れ様。」




「あっけなかったな。」




「まぁ神話生物の中でだいぶ弱い方だからね。こんなものよ。」




「そうだな。お疲れ様。」




幸先のいいスタートだ。

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