第86話 武闘大会 第3回戦①

翌朝、俺は1人で闘技場に向かった。


歩きながら精神統一をして万全の状態を整えた。




『よし、行くか!!!』




闘技場に入ると、そこにはトーナメント表と巨大なガラガラ抽選機があった。




『魔法を使うわけではないのか…』




どのようにして決めるのか少し期待していたのだが、アナログだったので少し残念に感じた。




「お前ら血沸き肉躍ってるかーーー!!!!!!」




「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」




「それでは3日目、まずは対戦表の作成から始めるぞーーーー!!!!」




「おおおおおおおおおおおおおおお!!!!」




残っているのは64人、6試合勝利できれば優勝だ。


参加番号が若い順に抽選機を回していった。




『俺は…15番か。』




「ダグラス、何番だった?」




「15だ。師匠は?」




「俺は47だ!ってことはお互い勝ち進めば決勝でぶつかれるな!!」




「ああ!!それまで負けるなよ?」




「ダグラスこそ!!!」




「それではトーナメント表が決まったところでルール説明だー!!!!」




「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」




「観客席にはなんと、カイル様の相方であるフィオナ様が強力な結界を展開してくれています!!!なので自由に暴れまくっていいとのことです!!」




「おおおお!!!!フィオナ様万歳!!!!!!」




「…フィオナ先生!?」




フィオナ先生からは貴族の嗜みや冒険者に必要な知識を教わっていたので、こんなに高等な魔法の使い手とは知らなかったのだ。


フィオナ先生に成長した姿を見せられるよう、俺は精神統一をしながら控室で待機した。




「っ!?な、なんだ!?」




俺は背後に感じた禍々しく巨大な魔力に驚いた。


その魔力は次の試合に出場する3番のサミュエル選手のものだった。




「…なにか?」




「いや…なんでもない。」




こっそり”鑑定”をしてみると、その魔力の原因は”魔力念操作”というスキルによるものだった。


効果は魔力を念じて操作できるもので、その魔力の性質は念じている心が現れるようだ。


おそらくサミュエル選手の魔力の禍々しさは負の感情によるものだろう。




『このスキル使えそうだな!!』




俺はSランクまで習得し、自分の出番まで闘技場の外で練習することにした。




色々実験して分かったことをまとめると、


1.体に纏って防具にしたり、型取って武器にしたりと利便性が高い


2.練って凝縮することでより強固なものとなる


3.魔力の塊を放出することはできず、常に体からでる魔力と繋がっている必要がある


4.完全に体内に魔力を留めることで魔力を断ち、”魔力探知”などを避けることができる


5.武器や防具の周りに纏うことで、付与のように強化することができる




といった感じだ。




『なかなか深いな…』




これは発想と練習次第で強力な武器となるだろう。


武闘大会の待機時間に練習し、師匠戦の切り札にしようと思う。




『…まずは勝ち進まないとな!』




「13、14番の選手はそれぞれ入場してください。」




俺の前の試合アナウンスが入ったので、選手控室に戻った。


消費したMPは”錬金”スキルで作ったMP回復ポーションを飲みまくって全快した。




数十分後




「15、16番の選手はそれぞれ入場してください。」




『よし、行くか!!!』




ドアが開き、俺は闘技場に入った。




「今大会のダークホース!!ファビオの推薦者にしてカイル様の弟子!!!15番、ダグラス選手!!!」




「おおおおおおおおおおおおお!!!!!」




司会者の紹介に慣れず、少し恥ずかしくなりながらも入場した。




「対するは立ち向かう者全て力でねじ伏せる巨漢!!16番、ダミアン選手!!!」




「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」




ダミアン選手の身長は3.5mくらいで、横にも大きい。


しかし、太っているのではなくほとんどが鍛えられた筋肉で構成されている。


その体重を生かすためか、得物は大きな両手剣のようだ。




『これはまともに食らったらきついかもな。…1回受けてみてから対策考えるか。』




光属性魔法で回復を使えないのが痛い。


しかし、せっかくの武闘大会なので正面から戦おうと思う。




「それでは、試合開始!!!」




俺は開始のゴングと同時に相手に斬りかかった。


それを大きな片手剣で防ぎ、鍔迫り合いに持ち込んだ。




「おーーっと!!!力比べになってしまいました!!!ダグラス選手、早くもピンチか!!!!」




『…思ってたより力強くなかったな。海龍のブレスの1/100くらいしかないぞ。』




俺は相手の武器を力任せで弾き飛ばし、そのまま斬り倒した。




「なんと!!!!!ダグラス選手、ダミアン選手との力比べに勝利し、見事勝利ーー!!!」




「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」




少し期待外れだったが、無事に勝利できて良かった。

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