第70話 鉱山都市

バーバラさんへの報告後、俺は屋敷に帰った。




『トロール殲滅し終えたし明日の旅立ちまでやることなくなったな…』




鉱山都市を満喫できるよう、向こうで役立ちそうなスキルを探した。




『あっ!!そういえば鉱石を採掘したいからそういう系のスキル習得しないと!』




俺は”採掘S”と”採掘家S”を習得した。


”鉱石鑑定”というスキルがあったのだが、おそらく”鑑定”で足りると思ったので習得しなかった。




『…まあ”鑑定”が使えなかったらその時習得すればいいか!』




それからもスキルを探したが、これと言って習得したいものは見つからなかった。




『まだ昼過ぎなんだよな…そうだ!スライムでも倒すか!』




”魔法攻撃無効”が”魔法攻撃耐性”の上位互換だったので、”物理攻撃耐性”をSランク以上に習得し続けたら”限界突破”以外の変化が起こるかもしれないと考えたのだ。




それから俺は全力でスライムを狩りまくった。


初心者冒険者に迷惑がかからないよう森林の中部以降にいたスライムを殲滅した。




『まだ時間があるな…他のフィールド行くか。』




そう思い、俺は王都の森林フィールドに向かって海上都市と同じようにスライムを殲滅した。


どれだけ倒したかわからないが、日が傾き夕焼けが差してきた頃「ピロン!!」と音が鳴った。




ステータスを見てみると、”物理攻撃無効F”を習得していた。




『やっぱり上位互換だったか!でも”物理攻撃無効”のランクはどうやって上げるんだ…?』




キングスライムから”鑑定&略奪”をする他にないのだろうか。


一応変化があるかもしれないため、見つけたスライムは倒して”鑑定&略奪”をしようと思う。




翌朝、俺は早く起きて支度を終え、ギルドに向かった。


すると、テレサさんは既にギルド前で待機していた。




「おはようございますテレサさん。早いですね!」




「おはよう!ダグラス君なら早い時間から待ってると思ってね!」




集合は8:00で俺は7:30に着いたのだが、流石テレサさんだ。




「それよりダグラス君!!そろそろ敬語外してくれないかな?」




「分かりま…分かった。テレサさん、これからもよろしく!」




「………」




「あっ!テレサ、これからもよろしく!」




「こちらこそよろしくね!」




「それじゃあ行きましょうか!」




「…どうやって行くの?また”転移”の魔道具で?」




…その設定を完全に忘れていた。




「そ、そう!じゃあ行くよ!」




俺は何となく誤魔化して空間魔法”転移”をした。




「着きましたよ。」




「2回目だけどやっぱりすごいね…!!」




「ですよね!じゃあギルドに行きますか!」




鉱山に囲まれた道を歩いてギルドに向かった。




「すみません。私たち海上都市から来たんですけど、ギルマスと面会できますか?」




「あ、これ海上都市のギルマスからの書類です。」




「受け取りました。少々お待ちください。」




数分後




「こちらへどうぞ。」




ギルド職員についていき、ギルマス室の前に来た。


鉱山都市にちなんでるのか、ドアやその周りの置物は鉱石でできていた。




「入れ。」




「失礼します。」




中には低身長でガタイが良く、長い髭を生やしたドワーフがいた。




「よく来たな!バーバラの書類で大体のことは理解した。俺はポールだ。よろしくな!」




「ダグラスです。よろしくお願いします。」




「そんなにかしこまるな!ため口でいい!」




「そうか。よろしくなポール!」




それから俺はテレサと別れ、ギルドの資料室で鉱山都市の情報を仕入れた。




得た情報をまとめると、


1.フィールドは鉱山と森林の2つでダンジョンが1つある


2.鉱山で採掘できる


3.鉱石を掘る道具はギルドで支給されている


4.鉱山は毒ガスが発生することがあるので注意


5.魔物はゴーレム系とワーム系が多い




といった感じだ。




『4は”デバフ耐性S”を持ってるから心配無用だな。それにしてもワーム系かぁ…あまり得意じゃないなぁ…』




あの形と動きが苦手なのだが、そんな理由で避けていたら強くなれないので克服したい。




『今日は軽く下見だけするか!』




早速俺は鉱山に向かった。




「君、採掘道具持たなくていいのかい?」




鉱山の入り口にフル装備の2人の門番がおり、話しかけられた。




「はい。今日初めてで下見だけなので。」




「そうか。ここは毒ガスが発生するからあんまり長くとどまらないようにな。」




「ありがとうございます!」




鉱山の中は一定間隔ごとに松明が置かれていて明るかったが、じめじめとした閉鎖空間なので妙な圧迫感を感じ、気持ちが落ち込む。


また、変な音がたびたび聞こえてきて気味が悪い。




『お化け屋敷に入ってる気分だな…』




そんなことを思いながら進んでいると、”気配察知”に反応があった。


その正体は全長2mほどの”ワームF”という魔物だった。




『でかいなっ…!その分気色悪い…!!』




ゼフソードで両断したのだが、今もなお動き続けている。




『いつになったら死ぬんだ…?』




俺は動きが止まるまでワームを切り刻んだ。




『大技で瞬殺したいが閉鎖空間だと危ないしなぁ…』




やり方を考える必要がありそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る