第65話 新装備
3か所に経営拠点の設置を終え、ついにマルコとの約束の日になった。
渡された地図は非常に分かりにくかったが、何とか解読することができた。
『場所は…鉱山都市か。』
俺は”転移”で経営拠点に帰り、一度皆の様子を見てみた。
一応初期費用として金貨500枚を渡したが、皆配属されて間もないというのに逞しく働いていた。
『これなら大丈夫そうだな!!』
俺は地図に従って目印が着いたところへ向かった。
進むにつれてだんだん人気がなくなり、霧もかかってきた。
『本当にこっちであってるのか…?』
心配になったので”気配察知”をしてみると、なんと地中から反応があった。
『マルコは地下に拠点を構えてるのか!?まあ確かに伝説の鍛冶師だから隠遁生活が強いられるのか…』
マルコの反応の真上まで来た。
すると、土の下に何やら硬い物質がある。
少し”土属性魔法”でどかしてみると、鉄の扉が出てきた。
『っ!!隠し扉か!!』
一通り見てみたが、ドアが見つからない。
おそらく内側からしか開かないのだろう。
『どうしたものか…』
謎解きは苦手だ。
鉄の扉なので壊して入るのは容易だが、それはマルコに迷惑がかかる。
『あ、もしかして…!!』
俺は以前メリルに聞いた話を思い出した。
「ダグラス、実はどんなものでも魔道具にできるんだよ!」
「そうなのか?すごいな!」
「でしょ!?それを利用して、昔はただの紙を魔道具に改良して伝書鳩として使ってたらしい。
…まあ今の技術では再現できないんだけどね。」
「メリルなら再現できそうな気がするな。」
「そう?ありがとう!」
マルコは昔の人なのでその技術を使っているのかもしれない。
地図に魔力を通してみると、勝手に飛んで行った。
「ちょっ!!待って!!」
地図の動きが止まり、そこに着くと何やらボタンのようなものが土から出てきた。
ボタンを押すと、扉の方から重い物体が擦れる音がした。
見に行くと、予想通り扉が開いていた。
『なるほど…この地図が扉を開けるボタンの在り処へと案内する魔道具にだったのか…!!』
俺は梯子を下りて行った。
「ようダグラス!!ワシの秘密の鍛冶場によく来たな!」
「あの仕掛け最初はわからなくて戸惑ったよ…」
「ハッハッハッ!!そうだろ?もうワシくらい長生きじゃないと分からない技術だからな!!」
「その技術を提供する予定はないのか?世界に広がればきっとより便利な世の中になるぞ?」
「ワシもそれを考えて伝えてみたが…現代の人では使えなかったんよなぁ…」
「扱えそうな人に1人心当たりがあるぞ?」
「本当か!?是非今度会わせてくれ!!」
「分かった。それで、頼んでた装備の方は?」
「渾身の出来だ!!ついてきな!!」
俺はマルコの案内で奥の空間へと向かった。
すると、そこにはSランク以上の装備がずらっと並んでいた。
「すごいな…」
「この程度で満足してられないわい!ほれ、これだ!!」
それは海を体現したかのような深い青色をしていた。
マルコの力作はどのくらいなのか”鑑定”してみた。
すると、”海王の片手剣SSS”、”海王の短剣SSS×10”、”海王の盾SSS”、”海王の防具SSS”という表記が出た。
そして、どれも水属性を帯びた魔法武器だった。
「おぉ!!」
SSSランク装備を予想していたが、さらに魔法属性まで付与されているとは思わなかった。
「マルコ、この纏っている水属性は素材の性質か?」
「ああ!よくわかったな!!ダグラスは鍛冶に精通してるのか?」
「ああ。たまに作ったりしている。」
「そうか!!気が合いそうだな!!」
「ああ!」
「それで、エンチャントは付けるか?」
「できるなら頼む。」
「分かった!!内容は何にする?」
「エンチャントの方はあまり詳しくないからおすすめを頼む。」
「了解!どれに付与する?ワシとしては熟練度を上げたいから全部に付与したい。」
「全部で頼む。俺にとってもありがたい。」
「そうか!!ウィンウィンってやつだな!!」
「ああ!」
「じゃあもう20日かかるがいいか?」
「分かった。じゃあ20日後また来る。」
「期待しておけよ?」
「ああ!もちろんだ!!」
その後、俺は企業拡大ではなく”鑑定&略奪”に努めた。
結果、” 硬質化 鋭利化 衝撃 再生 暴走”すべてSランクになった。
また、獲得した魔石は全て”魔石吸収”を行使したのでステータスも大幅に上昇した。
スキルも”限界突破”でき、盾と体術スキルがLv.1になった。
『とりあえず海上都市の魔物のスキルは得たな!』
森林フィールドにトロールBがいるが、トロールは比較的湿気の多い森林全体に生息しているので後回しにした。
『トロールの再生能力はぜひ欲しいな…マルコから装備を受け取ったら試し斬りついでに倒すか!』
トロールはどんなに重症でも即死でなければ時間をかけて回復する。
デビルスターの”再生”と似ている。
しかし、トロールは回復して元通りになるのに対してデビルスターは新しく作り変えられる。
『出血死もしないんだよな。血も再生されてるのか…?いや、再生というより生成か…?』
難しいので深く考えるのをやめ、俺は屋敷に帰った。
『ついに明日新装備を受け取れるのか…』
俺は興奮してなかなか寝付けなかった。
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