第52話 模擬戦
ハワードが先手を譲ってくれたので、俺は小手調べを兼ねて片手剣C”ソニックストライク”を行使して素早い一撃を放った。
すると、ハワードは表情一つ変えずに自慢の両手斧で防いだ。
俺は防がれることを予想していたので”ソニックストライク”を放ったすぐ後に片手剣D”アークスクエア”を行使して4連撃で追撃した。
若干驚きはしたものの、これもすべて防御された。
『思ってた以上に強いな…何より頑丈すぎる…』
称号”屈強な戦士”の効果で戦闘時の攻撃力と防御力が20%上がっているのだ。
「この程度かダグラス?来ないなら俺から行くぞ!!」
ハワードは斧F”アックス”を行使してきたので俺は盾で全力で守った。
それにも関わらず、俺はノックバックしてしまった。
『一撃が重い…これでFランクスキルだと…!?』
もう左手が麻痺して感覚がない。
俺は自身に”パーフェクトヒール”を行使して回復した。
「もうへばったのか?そんなんじゃレーヴァテインは渡せねぇぞ!」
『流石に素の力では負けるか。』
俺は一度深呼吸をして落ち着き、全バフを自身にかけた。
「行くぞ!!」
今度はスキルを使わずに連撃を与えた。
ハワードは俺の速さに若干ついてこれていないようで、徐々に攻撃が通るようになってきた。
『よし、この調子で攻めるか!』
そう考えた刹那、”危険察知”スキルの警鐘が激しく鳴った。
『…っ!!まずい!!』
急いで防御の体制をとると、両手斧C”シュタルクサークル”という範囲攻撃技を行使してきた。
俺はハワードの一撃をパリィしてできた隙に片手剣B”レイドジェノス”で強い一撃を与えようとしていた。
『くっ…!!やっぱり読まれてるよな…』
俺は自ら後ろに飛び、衝撃を軽減した。
それにも関わらず左手に若干痺れを感じる。
その後も有効打を与えられずに戦闘が続いていた。
俺もハワードも息は上がっておらず、見合っている状態だ。
すると、ハワードが土属性魔法C”アースバインド”を仕掛けてきた。
俺は跳躍して避けると、避けた先にハワードが攻撃の準備をして待っていた。
『まずい!!』
俺は光属性魔法F”フラッシュ”でハワードの視界を奪い、何とか避けられた。
攻撃魔法を行使したいのだが、地下室では狭すぎるため行使できない。
大規模魔法を躊躇って俺は闇属性魔法のデバフすべてをハワードにかけた。
しかし、これも称号”屈強な戦士”によって無効化された。
「どうしたダグラス?この程度の実力じゃレーヴァテインは渡せねぇぞ!!」
『…仕掛けるか。』
俺はこの部屋全体に一応結界魔法S”絶対不可侵結界”を展開して外部と完全に遮断した。
同時に自分の魔法に巻き込まれないよう結界魔法E” 物理遮断シールド 魔法遮断シールド”とB” スキル遮断結界”を展開した。
「ハワード、死ぬなよ?」
俺はハワードを取り囲むように土属性魔法D”アースウォール”を行使し、そのうえ壊されないようにアースウォールに結界魔法B”スキル遮断結界”を展開した。
力だけでアースウォールが破壊されそうなので、一応結界魔法E” 物理遮断シールド 魔法遮断シールド”も重ねて展開した。
そして結界の中に土属性魔法B”アースジャベリン”×10を空間魔法C”転移”で転送し、直撃させた。
魔道具は1度しか命に関わる攻撃を無効化しないのでオーバーキルしていないか心配だ。
しかし、そんな心配は不要だった。
ハワードは3回ほどくらったが、他はすべて防いで立っていた。
追撃をしようと今度は土属性魔法B”アースインパクト”を結界内に転送した。
衝撃は防ぎようがないので、ハワードは案の定弾き飛ばされた。
しかし、それでもハワードは立ち上がった。
気が付けばほとんど無傷だったのだ。
これも称号”屈強な戦士”の効果で、戦闘中常時回復効果があるようだ。
『”屈強な戦士”の称号はチートすぎだろ…』
ハワードを一撃で殺せる攻撃をしない限り回復されてしまうということだ。
『…魔道具の効果で死なないから本気で殺しに行くか。』
俺は土属性魔法S”アースメテオ”を結界内に転送し、直撃させた。
するとハワードは気絶した。
「俺の勝ちだな。」
正直剣の腕では勝てなかっただろう。
ハワードは今まで戦った人の中で1番強かっただろう。
俺は行使した魔法すべてを解除し、汚れたり傷ついた箇所を生活魔法”クリーン リペア”で元通りに戻した。
数分後、ハワードが目を覚ました。
「俺は負けたのか…」
「ああ。魔法で勝ってしまったのは悔しいがな…」
「片手剣の方も十分手強かった。まるでリーダーと戦ってた気分だよ。」
「そうか。」
「勝負はダグラスの勝ちだ。レーヴァテインは譲ろう。」
「ありがとう。」
「一度この部屋で試してから行ってくれ。」
「分かった。」
上の鍛冶屋に戻り、封印されたレーヴァテインを持って来た。
「開けてもいいか?」
「ああ。俺は耐性を持っていないから離れているよ。」
「分かった。開けるぞ。」
封印を解いた瞬間レーヴァテインから黒い霧のようなものがあふれ出した。
手に取ると、俺を乗っ取ろうとする感覚は全くなかった。
それどころか、むしろ手に馴染んだ。
「…大丈夫そうだな。特に異変は全くない。」
「そうか。ダグラス、レーヴァテインを使ってもいいがあまり人には見せないようにするんだぞ?」
「ああ。分かった。」
何とか魔剣レーヴァテインを手に入れることができた。
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