始まる、プロジェクト
「では、これから宜しくお願いします」
「こちらこそ、宜しくお願いします」
『*ハロー、プラネット。』が『Alice in 冷凍庫』の再生回数に並びかけていた頃。僕達は、父さんと母さんと一緒に東都アニメーションのオフィスにお邪魔していた。僕らが見てきたアニメ作品がここから生まれてきたのだと思うと、浮き足立ちそうになる。
とはいえ、今日はアニメの話をしにきたわけでは、もちろんない。
「シンガー&ストリーマーとしてtamaさん……環君、イラストレーターとしてyoruさん、夜月さんが加入ということで、今『ライムライト』は全部で8人ですね。今勧誘中の人もいるので、これからどんどん増えて行く予定です」
『ライムライト』。東都アニメーションが立ち上げた、『世界を変えに行こう。』と謳うプロジェクトだ。イラスト、アニメ、音楽、文学、マンガといった様々な分野のクリエイターを集め、化学反応を起こす。
そしてそこから産声を上げたもので、『世界を変えに行く』。
そう熱く語ってくれたのは、東アニの社長さん。そして、僕達を誘ってくれた朝はぜ先生こと、朝霞和泉さんだった。
細かい話は父さん達と一緒に決めて、今日が加入の本決まりだった、というわけだ。
そこで気になったのは、僕達以外のメンバー。朝はぜ先生……朝霞さんに聞いてみると、すぐに答えは返ってきた。
「公式から発表するまでは、口外しないでね?もちろん、あなた達自身のことも」
と前置きした上で朝霞さんが出した名前は、「あれ?僕らが入って大丈夫だったここ?」と聞きたくなるくらいの人たちだった。
「1人目は、君たちも多分知ってる人かな。小説家の、東方奏多さん。前にアニメをやって、去年ウチで映画化した作品の原作者さん」
……その映画、3回行きました。夜月に連れて行かれて見てみたら号泣したんですけど?夜月はもっと泣いてたけど……。
「2人目は、こっちも知ってるかもなぁ。ボカロPのAyaさん」
「ひぇえぇ……」
夜月、めっちゃ気持ち分かるぞ。ひぇえってしか言えないもん、さっきから。
Ayaさんは歌ってみたを勉強した時、何度も何度も曲を聞いた。そしてまんまとハマったのだった。夜に溶けて行くようなメロディー、ストーリー性のある歌詞、超一流のボカロPである。
「3人目、っていうか3番目なんだけど、君たちと同じ歌い手の『くらうん』。3人グループの歌い手さんなんだけど……その反応は知ってたみたいだね」
知らなきゃおかしい、くらいの人たちなんですけど……地上波まで出たような歌い手界の超大物なんですけど。女子人気の特に高い人たちということで、僕もモテの秘訣を伝授してほしい。
「……ん?あと1人、僕達以外は誰なんですか?」
と聞く。東方さん、Ayaさん、『くらうん』の3人で、6人。あと1人って……と、考えたところで。僕は目の前のニヤニヤ顔を見て察した。
「はいはーい!私です!朝はぜは東アニから出向という形でやらせて頂きます!……嬉しい?2人とも、知り合いいて嬉しい?」
「はいはい嬉しい嬉しい」
「こら、お兄ちゃん!?わ、私は嬉しいですよほんと!」
「yoruちゃん、信じてたよ…!ねえ、ちなみになんだけどさ、tama君私のことどんな風に思ってるかキキタイナ……?」
「なるほど、これが世に言うポンコツお姉さんか」
「ん??誰の話をしてるのカナ?」
「いえ、朝霞さんが美人だという話です」
「!?」
その後夜月と朝霞さんの両方から足を踏まれた。愉快な人達だ……。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
作者より
どうも、昨日から花譜さんをずっと聴いているもろ平野です。今日ハイファンに短編を一つ投稿してみたんですが、はっきり分かりました。僕にハイファンは書けない(笑)
書いてて手応えがあったら連載も考えてたんですが、しばらくはラブコメ、この作品に専念することにします〜。
それではまた、お付き合い下さいませ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます