勧誘

「『√』のお二人を、ウチ…東アニで新しく作るクリエイターズプロジェクトにお誘いしたいんです」



と、朝はぜ先生が言ったのは、3日前の通話中のことだった。




「えっと…全然今回の件と関係なく、私がお二人のファンだとさっき言ったと思うんですが…ちょっと長い話、していいですか?」


と、朝はぜ先生が話し出した。なんだ?と夜月と顔を見合わせて答える。


「はい、もちろんです…?」


「あっ、全然暗くも重くもない話で…今東アニで、新しいプロジェクトが始まるんですよ。どういうプロジェクトかと言うと」


そこで朝はぜ先生は一呼吸置いて、とんでもなくスケールの大きなことを言い出した。


ってプロジェクトでして」


夜月と僕が「「えっ…?」」と揃って首を傾げたのが分かったのか、朝はぜ先生は説明を続けて、


「つまりですね、日本で活動している様々なクリエイターの方々に入ってもらって、そこから作品を発信していこう、ってことなんです」


「小説家や作詞家、イラストレーター、ミュージシャン、色々なクリエイターを集めて、化学反応を作り出す、そんなプロジェクトを、今ウチでは進めています。……アニメだけ作ってても、面白くない!って社長が言った一言から始まったんですけど」


正直なところここまでの話を、僕は「へ〜、すごいなぁ」としか聞いていなかった。だからこそ、次の一言には物凄く驚かされたのだったけれど。


「私、実はお二人…『√』のことを上司に話してありまして」


「「へっ…!?」」


上司に話をしてある、と、言うことはまさか。


「『√』のお二人を、ウチ…東アニで新しく作るクリエイターズプロジェクトにお誘いしたいんです」


「先程も言った通り、ウチは今、『新しいコト』を求めているんです。そしてどうせやるなら、時代を作れるくらいのことがやりたい」


「そのためには、まずはそれだけのことができる人たちが必要です。…私は、『√』のお二人に来て頂きたいと思っています」


とまで言われて、既に僕と夜月は心が傾いていた…というか、完全にやってみたくなってしまっていた。


それでも、親に相談しないわけに行かない話だ。その旨を伝えて、その場は一旦おやすみなさい、となったのだった。




そして今、と言うわけだ。


「で…どうだったかな、この前の話。親御さんからの許可、貰えた?」


一呼吸おいて、答える。


「…全然貰えました!むしろ応援されたくらいで」


「ねえちょっと変な間を置かないでよ!?あぁ断られるんだなって悲しくなったんですけど!…あー、安心しました」


「はい、宜しくお願いします。親と一緒に会社に伺うのって、1週間後でしたよね?」


「うん、1週間後の午前10時からでお願いします。私も同席するので、宜しくね」


「了解です。伝えておきます」


詳しい話と本決まりはその時に、ということだ。

……正直『√』を始めた時は、こんなことになるなんて思っても見なかった。でも、すごくワクワクしている。


朝はぜ先生によれば、そのプロジェクトには既に、

「すごい人たちも加入予定だから、お楽しみに!」とのことだ。肩を並べて活動できるか分からない不安はあるけれど。


ティロン、と通知音。夜月から、『作業終了!!投稿準備ヨシ!!」と来ている。


よし……肩を並べられるか不安だけれど、並べられるように、まずは3本目の歌ってみたを投稿しに行こうかな、なんて思うんだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

作者より

プロゲーミングチームみたいなクリエイター集団があったら面白くね?という思いつきから考えていた構想でした。ストリーマー部門、競技部門、みたいな感じで、色んな種類のクリエイターが集まるチームがあったら見てみたいな、という願望なんでしたけれども、如何でしたでしょうか。またお付き合い頂けると幸いです。


(昨日、星200目前なのでどなたか下さいと言ったら300手前まで頂いてしまい、なんだかとっても恐縮です。ありがとうございます!)

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