次の曲と妹とのラブコメ(?)

最初に歌った「アカシア」は、今では再生回数が27

万回を超え、チャンネル登録者数はなんと3万人を突破したけれど、僕と夜月はそれを横目に次の曲の準備に取り掛かっていた。


夜月はイラスト、僕は曲の練習を始めたのだけど、これがまた難しい曲なのだ。次の歌ってみた動画は、Orangestarさんの「Alice in 冷凍庫」だ。


Orangestarさんの楽曲の中でも人気が高い一曲なのだけど、サビの高音部がヤバい。音程を追うのに精一杯で、全く余裕がない。感情を込めて歌えるか、結構不安だ。


そうそう、夜月と曲決めをした時、Orangestarさんの何の曲を歌うかで揉めたんだっけ。アスノヨゾラ哨戒班、DAYBREAK FRONTLINE、快晴と言った人気・有名曲だったり、僕が好きな未完成タイムリミッターやWhite Landscape、夜月が好きなシンクロナイザー、回る空うさぎ。…なんでよりによってトップクラスに難しいAlice in 冷凍庫になっちゃったかなぁ…。はい、僕も行けるかもと賛成してました。


「お兄ちゃーん、イラスト案のラフ持ってきたよー」


うーん、声量と息の使い方で抑揚つけてみるとか?サビは腹の芯から声出せば迫力ある感じにならないかな…?


「ねえお兄ちゃん、ラフ持ってきたってばー」


Alice in 冷凍庫、サビからラストまで高音部が連続しているのだけど、体力をどうやって保たせるか、

息継ぎのタイミングとかも考えないと、かも。


「お兄ちゃんってばーっ!!」


うつ伏せに寝転がっていた背中に衝撃。


「おm……いえ何でもないです」


危ない。そのまま重いと口にしていればどうなっていたことか。


背中にダイブしてきた夜月は、僕の上で器用に寝転がり始めた。肩甲骨の間に頭入れるのやめな?


「お兄ちゃんキラーい」


お兄ちゃんはショックです。


「集中してて気づかなかったんだよ、ごめんて……ぐえっ」


僕の背中の上でゴロゴロしないで下さい、妹よ。


「お兄ちゃんキラーい」


「うーん、ロ○ソンで新発売のガトーショコラ」


「お兄ちゃんキラーい」


「足りぬと申すか、貴様。んー、パルムのピスタチオ味美味しかったからそれも」


「えへへ、お兄ちゃん好きー」


まあ、こういうときも何だかんだ一口とか半分とかくれるから、まだまだ子供だなーなんて思いつつ貰うのが常だったりする。とは言え、


「太るぞー」


「潰すぞー」


「ごめんて。…じゃあ、後でコンビニ行きますか、お嬢様」


と、言うと。


「ん"ん"っ」と、夜月が変な声をあげ出した。


「何、それ返事なの?」


と聞くと、軽いジト目になった妹がこちらを無言で睨み加減。なんでちょっと顔赤いの?


「んんんんー」「んんー」「なむぅんん」なんて珍妙な鳴き声を披露し出す夜月。妹が壊れました。


しばらくして、夜月が言い出した。


「あのね?最近お嬢様とかそういう系のマンガ読んでてね?それが面白すぎてキュンキュンするんだけど、……後でそれ貸して?いいけど……えっと、別にお兄ちゃんがどうこうじゃなく、ね?……あの、もう一回『お嬢様』って言ってくれたり…」


「え?何で僕がそんなこと言わなきゃいけないんですかお嬢様…ハッ!言ってしまった…!」


夜月さんはこれで満足なんでしょうかね?


夜月はしばらくもにょもにょとした後、


「…もう!ほらコンビニ行くよ!」


と、言ったのだった。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

作者より

初めてまともにラブコメしたのかな…?ラブコメってそもそもなんでしたっけ…。


作者が一日考えてた渾身のダジャレ、行きまーす!


星がほしい、なんつって。


すいません、最近寒くなってきましたしお体にお気をつけください…。(震え)


あ、星は頂くと本当に嬉しいです。入れてくれた皆様、ありがとうございます。

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