第278話 一期一会

こんなところに美術館があったとは、ちっとも知らなかった。こんなに小さいんじゃ今まで気がつかず素通りしてたのもあたり前。


なかなかわたし好みの絵が多い。画家の名前なんて知らないから有名なんだか無名なんだか判らないけれど、自分の好き嫌いでしか観ないからそんなことはどうでもいい。


時を忘れて観て回っていたが、よくよく考えてみれば、あの建物の中がこんなに広いわけがない。広いわけがないはずなのに現に広い。何がどうなっているのか、さっぱりわからない。


急に怖くなって出口に向かうとすぐに建物から出られた。出口がこんなに近いはずはないのに。

振り返れば小さな美術館。


時間のあるときにまた来よう。


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