第259話 未来地図

子供のころ書いたであろう地図を見つけた。学校の課題で書いた地図ではないのは明らかで、とにかくデタラメなのだ。遊びで書いたんだろう。宝の隠し場所を示すような空想の地図ってところか。


が、よくよく見てみると宝の在り処が書いてあるようでもなさそうだ。それにデタラメだと思っていたが、わたしはこの場所を知っている。いや、確かにデタラメだけど各部分は正しい。正しい各部分を強引につなぎ合わせてひとつの地図にしてあるからデタラメに見えるのだ。


その正しい各部分というのはわたしがこれまで住んだことがある街。わたしが住んだあの街この街がつなぎ合わせてある。

子供だったわたしがなぜそんなものを書けたのか。というより、これは子供ころのわたしが書いた地図ではないと考えるのが妥当か。


地図には知らない部分も多い。

わたしは将来この地図にある知らない土地に住むことになるのだろうか。

それがどこなのかは地図が局地的すぎてわからない。



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