第178話 後始末
お皿を買おうとしたら「その皿を買うならこの猫も飼わなきゃいかんけど、どうする?」と店主に訊かれた。この猫、と言われた猫はかわいげがない。猫は好きだけれど、この猫なら飼いたくない。それにウチには猫が2匹いる。
「猫なら飼ってます。ただお皿が欲しいだけなんですけど」
「普通の猫だろ? この猫が居ないと困ったことになるから、この猫が飼えないならお皿は売れないよ」
「困ったことって何です?」
「それは買ってのお楽しみ」
古道具屋の主人ってのは変人なのかしら。
仕方がない。猫込みでお皿を買った。
その皿に盛った料理は半分も食べると満腹になってしまった。残りは冷蔵庫にしまって次の日に食べようとしたのだが、食欲がわかない。といって捨てるのももったいない。困ったことだ。
お皿といっしょに来た猫は鳴いて皿に盛られた料理をねだる。
そういうことか。
体調のせいだと思っていたが、食べられないのはこの皿のせいらしい。この皿に盛られた料理はすぐ満腹になるし、残りものには食欲がわかないようだ。で、残ってもてあました料理を処分するのがこの猫というわけだ。ウチの猫はキャットフードしか食べないし。
不思議な皿もあったものだが、それをフォローするような猫もいるとは。
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