第177話 もうひとりの先生
教室に入ってきた先生はいつものように教えはじめた。が、教えてることがデタラメ。歴史の先生なのだがあきらかにあり得ない史実について語っている。
「先生、ふざけてないでちゃんと教えて下さい」
クラスメートが発言すると先生は不思議そうな顔つきになった。そして胸のポケットから見たこともないデバイスらしきものを取り出しなにやらやりはじめた。
「間違えた!」
大声をあげて先生は教室を飛び出した。
しばらく経って先生は教室に戻ってきて、いつものように教えはじめた。今度は教科書どおり。ちゃんとした史実。
授業のあと先生にデタラメな史実や見たこともないデバイスのことを訊いてみたけど、何も答えてくれない。そんなこと知らないの一点張り。とぼけているふうでもなく、本当に知らないようだ。
もう一度あの先生の授業を聴きたい。
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