第80話 泡
机の上に小さな汚れを見つけた。汚れをとろうと水と洗剤を数滴たらす。と、こすりもしないのにぶくぶくシュワシュワ勝手に泡立ちはじめた。
はじめは洗剤の効力なのだと思った。汚れを浮かせているのだろう、と。しかしどうやら違うらしい。消しゴムくらいの大きさに育ったその泡はゆっくりとではあるが動いているのである。その動きにはなにか意識を感じる。
しばらく見ていたが、いかんせん動きが遅い。いつまでも見ていても変化らしい変化もしないから放っておいた。
気がつけば乾いてしまって泡は汚れに戻っていた。少し場所は移動している。
たまに水と洗剤をその汚れにたらす。泡立ち、その泡が蠢くのをしばらく見ている。やがて乾いて汚れに戻る。汚れの場所は少し移動。
そんなことを繰り返している。
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