第73話 眼球

寝るときには眼球を取り出して薬液に漬ける。そして別の眼球を着ける。これは夢をみるための眼球。眼球で夢をみるわけではないけれど、ふしぎとこの眼球を着けるとおもしろい夢がみられる。こんなものにも相性があるのだろう。


ある朝。眼球を交換するのを忘れて出かけてしまった。一日、夢見心地のように過ぎてしまい、あまり記憶に残っていない。

夜、寝る前にはその夢用の眼球を薬液に漬け、代わりにいつも日中に着ける眼球を着けて寝た。


夢はみなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る