第27話 台所での出来事
今日もまた台所から包丁の小気味よい音がする。炒める音。香ばしい匂い。鍋の蓋がかたかた鳴っている。吹きこぼれているらしい。
音と匂いは徐々にクライマックスへ。
けれど、私はテーブルにはつかない。そこには何もないから。いつからだろう。音と匂いだけの調理の時間が展開されるようになったのは。
さて、食事にしよう。
台所に立って私は支度をはじめる。独り者は手抜きが多くなるけど今日は少し頑張ってみるか。
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