第332話 羅針盤

「この針の先に、君の幸運の女神が立っている」


僕の不遇に同情してくれた魔術師のくれた羅針盤は落ちて壊れ、

飛び散った針は、美女の足元へ。


尽くしまくった挙句、捨てられた僕は管を巻き、

ふと目に留まった経済誌の表紙には、

あの日、ぶつかって

「どこ見てんだよ! ブス!」

と罵った、未婚の成功者が。




★☆★


彼は、「インチキ魔術師」とかって管を巻いていたんでしょう。


羅針盤の時に指示していた”幸運の女神”は、ブスちゃんだったわけですな。

で、目的地に着いたので、羅針盤は壊れた…と。


彼女が成功の足掛かりを掴んだのも"あの日"から。

今となっては、彼女に会える筈もなく、

運良く顔を合わせても、(あの時の失礼な男)と思われるだけ。


"幸運の女神"を容姿で選んだ彼に、復活のチャンスはもう無い(笑)



☆★☆


次のお題は〖胡蝶の夢〗


……だと。


ぐわぁぁぁ。

これは、鬼だ。

だって、これが物語ぢゃん!!

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