第307話 ポートレート

そのあばた面の宮廷肖像画家が重宝されたのは、

彼等貴族の妻が浮気する可能性がゼロだから。


革命後も、仮面の天才画家と呼ばれた彼は独身を貫き、

その死から30年後に、彼の甥が発表した『セルフポートレート』。


「この顔で見つめられたなら、失神せずにおれまいよ」


描かれていたのは、世にも妙なる美青年。




★☆★


『あばた』というか『ハンセン病』かな。

彼の遺した『セルフポートレート』は、コンプレックスだった皮膚の病変だけを修正した絵。


革命によって、彼の素顔を知る貴族達は一掃されたが、

貴族の使用人達から、

「奥様は、『傍に寄られると(気持ち悪くて)失神しそうだった』と言っていた」

等の証言と、彼の描いた肖像画は残っていた。


写真の様に緻密な絵を描く彼の腕前は認知されており、

彼の甥もハンサムだったので、

『傍に寄られると(胸が張り裂けそうで)失神しそうだった』に訂正された。

って、感じです。



☆★☆


次のお題は〖隕石〗

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