第297話 即興演奏

貧乏ゆすりするオッサンの靴が床を打ち、

テーブルを爪で叩く女性の苛立ちは裏拍のリズム。


皿の上でナイフとフォークがカチャカチャと響く中、

ワイングラスで乾杯の音色のアクセントが尖る。


新米ウェイターが蹴躓いて

お盆をひっくり返した。


ありふれたレストラン。

今夜の即興演奏は、なかなかに凄まじい。




★☆★


語り部は、ベテランウェイターかな。

お客様のコースの進み具合を耳で感知している内に、

それをメロディで感じ始めた。

みたいな。



☆★☆


次のお題は『熱帯夜』

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