第258話 残す

老いた退役軍人は、もう十年も前の戦の恩賞として、

後添いの若い娘を下賜された。


(ああ、そうか。そういう事か…)


初夜に挑もうとにじり寄ったところで、娘は嘔吐を覚え洗面所に向かったのだ。


彼にも一年前の噂は届いていた。

国王が、王子の横恋慕と后の悋気に、後宮入りを断念された姫がいたことは。




★☆★


国王から下賜された娘の胎内には、国王の胎児が残ってたんですな。


退役軍人は、十年前の戦で国王を庇って怪我をして退役したが、それまでは、裏近衛(身分は低いものの忠臣とかじいやとか、そんなの)で、現在は、恩給生活を送る小さい領地の長(統治の代行権ではなくて所有権。小国王…みたいな)。


まぁ、つまり、

(お前の所有する領地は、俺の私生児に相続させろ)

ってわけですな。


まぁ、彼には子供がいない設定なので、公的には、

「若い娘相手に、後継者作りを励め」

って感じで下賜されてるんだけどなぁ。


国王的には、

「作っといてやったぞ。てへぺろ」

か。



☆★☆


次のお題は〖五月病〗

タイムリー

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