第175話 シュレーディンガーの猫

もうすぐ助手が帰ってくる。

私が彼に命じたのは、シュレーディンガーの猫の生死の確認だ。

去年の年末に実験結果は出ている筈だが、今迄、ほっておいたのだ。


「博士~」


助手の手を見て、私は両膝をついた。


「年末ジャンボ、やっぱりハズレて死んでたみたいですよ。はい。明細書と300円」


私の高額当選生きてる猫がぁ。




★☆★


フッとね。

(宝くじって、シュレーディンガーの猫じゃね?)

って、思ったんです。


もう、抽選は終わっているから、開封前の10枚入りの宝くじの袋の中身が、当たっているかハズレているかの結果は出ているのだけど、それがどっちなのかは、当選番号を確認してみるまでは、解らない。

シュレーディンガーの猫って、こういう事なんじゃないかなって。


折角のニャンの日ニャンだというのに、私って奴は。

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