第165話 カモフラージュ ➀

執事から渡されたのは、銀細工の小さな鴨とイチョウの葉のフラージュを組み合わせたブローチだった。


「何?」


「あのお館のメイドの証といったところでしょうか。知らぬ顔であっても不審がられる事はない筈です」


「ふ~ん。カモフラージュに必要な小道具って訳ね。ふっふっふ。今夜こそ夜這既成事実を作ってやるわ」




★☆★


どこぞのはすっぱなお嬢様が、どこかのお館の堅物坊ちゃまと結婚する為、メイドに変装して、夜這いに出かけようとしているのだ。

寝所まで侵入できれば、どーにかなるとも考えているんだろうな。


しかし、それを止めないどころか、必要なものを揃えて、けしかける執事ってどうなんだろう?




〖シンプルイズベスト〗の時に思った、シンプルイズというベストチョッキのリベンジをしたい、という考えだけで作りました。


フラージュとは、コーティングする事で、紙で作ったリアルな花を陶器のような仕上がりにした、軽くて実用的な、ハンドメイドアクセサリーなのだそうです。


花をバラとかヒマワリにせずに、イチョウの葉っぱにしたのは、

(鴨に似合う花って何だろう?)

と調べた結果、猪肉を『ボタン』というように、鴨肉は『イチョウ』と呼ぶらしいから。



☆★☆


次のお題は〖カオス〗



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