第088話 音信不通 ① 《2-086》-2⃣

潮時を告げる手紙で笹船を折り川に流した郵便配達員は、

今やすっかり自分の色に染め、

夕食を共にする女の家に帰っていった。


女は知らないのだ。


今宵、彼女を熱く抱く男が明日の夜には帰らぬ事を。


5年間、音信不通だった男が書いて、川の水に滲んで溶けた

『愛しい女よ。来月、還る』

のインクの文字も。




★☆★


ふと、思いついたので…。


〖2年目:第086話 揺れる 《2-086》-1⃣〗

https://kakuyomu.jp/works/16816700427843453546/episodes/16816927859079496120

の“彼”。


“あの人”である男は、旅先から女に手紙を出していたが、

“彼”である郵便配達員が握りつぶしていた。


ついに男が帰って来る事を知った郵便配達員は、

今度は自分が町を出て、音信不通になるのであった。


〖《2-086》-1⃣〗を書いた時、“彼”はとっても良い人の予定だったんですが…(;^_^A



男は、

〖強く儚い者たち〗/歌:Cocco/作詞:こっこ

の“あなた”のイメージ。

港の女性を振り切って宝島に到着し、帰って来るって感じですな。

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