第47話 炎の鎧

「お兄ちゃん…」

「創輔…」

「この子…妖精なのよね?」


家族達に尋問を受ける俺はテーブルの上に、炎の精霊フレイアを正座せると事情を話した。

俺なりの理由としては―――なんか使えそうだから拾ってきた。


「使えそうって何!? エッチな事に使う気でしょ! いくら彼女が出来ないからって! 駄目だよ!」

「んな訳あるかぁ! こんな、ちんちくりんに欲情するほど腐ってない!」

『へぇ~? ご主人様は私の事をやらしい目で見てるんだ?』


等と言いだす始末。  お前は黙っとけ!




――――――――――――――――――――――――――――


それから親父と母さんにも質問攻めにあった俺はフレイアを残し、魔石をエネルギーへ変化する為に、ふたたびあの施設へと足を運ぶ。


「よし、これで最後か」


ガチャコン…キュィィィン!!


『1000P蓄積完了。 これより、アイアン・ソードの解放を行います。 ガイド表示――――装着者ファクターは所定の位置に待機をお願い致します』


すると突如ルートガイドが表示されると装置と装置の丁度間―――丸く光った

床が見える。

あそこに立てばいいという事なのだろう…


「了解」


ブブー!


「ん!?」


だが、光った床に乗った瞬間。 ブザー音が鳴った。


「どういうことだ!?」

『失礼。 衣服&肌着を脱いでいただき―――裸の状態になってください』

「ま、まさか…素っ裸でこの上に立てって?」

『はい』


何が起こるのかは解らないが、ここは素直に従った方がよさそうだ。

意を決した俺は全裸になると光った床の上に立つ。


『ほいほい~ちょっとチクっとしますよ~装着者ファクター様』

「ん?」


足元には注射器を持ったブイが立っていた。


「おい、ブイ…それはなんだ?」

『何って、強力な鎮痛剤ですよ! 即効性のある!』

「え? どういう―――いてっ!」

『じゃ!』

「へ?」


ガコン!!


ブイが俺の元を離れた瞬間、突如として目の前が真っ暗になった。

まるで何かに覆われている様な暗さである。


グォォォォン…

徐々に機械音のようなものが響き渡る―――そして―――

気付けば周りには何か鉄の板のようなものが丁度4枚ほど、俺の周りを囲んでいた。


「ちょっとまて…まさかと思うが…」

『安心してください。 アーマーの微調整をする為の工程です。 痛みは一瞬―――今回は鎮痛剤も用意しているので問題ありません。 それでは3.2.1――』

「せめて10秒からにしてく――」


ガコンッ!!!


再び俺の目の前は真っ暗になった。

それからどれくらいの時間が経った頃だろうか、俺はその施設の新しく解禁された部屋へやって来ていた。

元々ここは装置の部屋のみだったのが、気付けば自動ドアが出現し新しい部屋が出来ていた。


「ここは…」

『シュミレーションルームです。 過去、戦った事のあるモンスターを再現し…戦う事が可能です』

「シュミレーションルーム…って事はあいつとも戦える訳か…とはいえな…」


丁度となりにあった鏡を見ながら考える。

そこには今までは全く別のフォルムをした赤い鎧が見えていた、頭部はヒロイックな見た目に変更されており、さらには肩の裏側に計4本の腕が生えていた。

そして注目するべきは肩にマウントされた2双のブレードだろう。


「ローラーもないのか…」


思った以上に細いな。 かかと部分を何度もみてもローラーは見当たらなかった。


「この腕は? 使えるのか?」

『いえ、そちらは換装用の予備アームです』

「予備アーム?」

『はい。 そちらはブレードの使用で消耗したアームを強制換装させるものです』

『つまり、ブレードの衝撃で消耗した腕を取り変えちゃおう! って事ですね! 修理機能なんてものはありませんからね!』

「な、なるほど…消耗した腕は返ってくるんだろうな?」

『もちろん! 弾薬といっしょですよ! 時間が経過すれば勝手に生えてるとおもいますよ』


なんともまた変わったアーマーだ、まさか腕を取り換える近接用アーマーだとは…

だが、これで弾薬の節約と回収がより効率的に出来る訳だ。

まぁ…まだ実戦の方に慣れていないのでどうなるかは折れ次第なのだが…

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