第14話 ランドセル装備のフルアーマー男
翌日。
Fランクダンジョン”ゴブリンパーク”へやって来た俺は、家族達と共にダンジョンのゲート前へやって来ていた。
「お、おい? なんだよあいつ!? あれって、鎧か何かか!?」
「馬鹿いえ! 鎧を着てたら瞳が光る訳ねぇだろ!」
「じゃ、じゃあなんなんだよ!? ちょっとまて!! あ、あれって!? 軍事用アイテムBOXじゃねぇか!?」
「まじかよ!? あれを背負ってダンジョン内を歩く気か!? 正気じゃねぇぞ!?」
ダンジョン前で俺達は大量の野次馬に囲まれていた。
「いや~! 人気者は辛いですな~! お兄ちゃん! 頑張れ!」
「いいか? 創輔? 危なくなったらすぐに引き返すんだ、お前には仲間はいない! 危険と感じたらすぐに引き返せ? お前なら…絶対に俺達の所まですぐにたどり着ける。 頑張れよ」
「えぇ、そうよ。 だから私達も待っているわ」
「あぁ。 解った…んじゃま。 行ってくる」
ゲートに入ろうとしたところで優香は言う。
「あ、そうだ。 お兄ちゃん! もし他の冒険者が邪魔してくるようなら…ぶっ飛ばせ」
「…了解」
俺は右手を上げるとそのままダンジョンへ侵入したのであった。
―――――――――――――――――――――――――――――
『システムクリア。 オールグリーン、アイテムBOXの接続完了。 いつでもいけます』
「アサルトマシンガンとハンドアックスを転送。 装備する」
『了解。 アサルトマシンガン及びハンドアックス転送―――マウント、完了』
「にしても、どうやってこれはくっ付いてるんだ? 無理やりとは言え、気になる…」
『アーマーのエネルギーを磁気へ変換し、背中に無理やりマウントした状態となります。 一時間で1EN消費、ですので現状ですと30時間の運用が限界です』
「EN…エネルギーを使うのか。 でもいいのか? このアーマー…EN」
『使用しません。 このアーマーにEN消費の機能は装備されていません―――ですので、30時間の運用が可能と推測しました」
なるほど。 エネルギーを使う様なものは装備していないって事か…
な、なるほど~…だったらエネルギーは全て”こっち《ランドセル》”に全て回せると。
『視界良好。 スキャン開始―――
ピッ――――
「あ、おい!?」
いつもいつも勝手な奴だ、だが…確かにモンスターの戦闘データを集中的に取ってもらった方が追々助かるのは確か。
「しかたねぇ、いくか」
ガチャン!!
念のため、俺はアサルトマシンガンのセーフティ解除を自分で行い薄暗い洞窟の中を進むことにした。
これがダンジョン…にしても俺以外の冒険者の気配を微塵も感じない。
恐らく他の者はもっと下層の方に行ったのだろう…だが、モンスターとの戦闘経験が無い俺は慎重にダンジョン内を進む。
「ん~…レーダーにも特に反応はないな」
正面左上に見えているレーダーを確認してみるが、熱源体の反応はない…もしかしてほとんど倒されたとか?
「なんにしても、奥へ進むか…」
ダンジョン…事前に聞いていた情報通り、このダンジョンは基本的に迷う様な構造でない事が理解できる。
ひたすらに続く一本の長い道…しかし、果たしてこれをずんずん進んでいけば最深部へとたどり着くんだろうか?
「ん~…わからん」
ガコンッ…ガコンッ…ガゴンッ。
もう一つ心配は、いや…もう二つ程心配事があるとすれば、この地面が抜けないか…そして帰還用の”ポータルスフィア”という物が使えない俺は、ある程度の所で引き返す必要がある事。
つまり、限界ギリギリまで戦う事は避けたい――――
「まぁ、いい具合の所で引き返そう」
それからしばらくして。
15分程歩いた頃だろうか? まっすぐな道を進んでいくと、目の前には大きな空間が目に映る。
「タンクの回復を頼む! 俺はこのまま牽制する!」
「了解!! 回復は任せて!」
「よっしゃ!! ウォークライ、発動!」
「おぉ!!!!」
思わず声が出てしまう。 これが冒険者達の戦いか…目の前では男女4人程のパーティーがゴブリン数体を相手に戦闘を繰り広げていた。
これが、パーティー…これが冒険者!! かっこいい!!
「とは言え、許可なしの”横狩り”は確か違反行為だったな…気を付けよう」
―横狩り―
相手が戦闘中のモンスターを横取りする行為の事である。
一般的には緊急時を除く”相手の許諾なし”に討伐する事は禁止されている。
なので、俺は少し離れた場所のゴブリンの群れに照準を合わせる。
ガチャン…
「さてさて、相手は気付いてないな?」
アサルトマシンガンのセーフティーを解除した俺は、スコープを覗きゴブリンの頭部へと照準を合わせる。
正直、モンスター相手にどれくらいの効力があるのかは解らないが…とりあえずは1匹。
ズガンッ!!!!
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