第7話 赤ん坊より弱いってどうなんだ!?

「冒険者登録を行うのはここ!! 冒険者試験場!! ここにはなんと、特殊合金製の特別な施設があって~更には! あの数々の”ランカー”の皆様を生み出した聖地!! そこが、ここ! 冒険者試験場だよ!!」


じゃじゃーん! と微笑む妹は俺の前に立つなりそう告げる。

いや、そんな事りもまずは…


「ん? なんだ?」

「あら? どうしたの?」


何故、保護者同伴&兄妹同伴の元で俺は冒険者試験場へ来ているのだろうか。

そこは何か特殊な合金で建てられた物らしく…もしダンジョンの外へモンスターが出たとしてもこの建物だけは傷一つ付けられる事はないらしい。

というか、モンスターってこっちにも出て来るのかよ!? それは初耳だ!


「いや、なんで妹に父に母にと同伴の元にこんな場所にきているんだろって…」

「「「まぁまぁ」」」」


―――――――――――――――――


そして建物の表――側ではなく、明らかに職員用の通路だと思われる場所をずんずんと進んでいく妹。


「な、なぁ優香? 俺は何処に連れていかれてるんだ? あ、あぁいう奴をやるんじゃないかのか?」


俺は通路の隣に見える”景色”、年頃の男女が身体測定やスキルの力を使用し…剣や魔法を交えている姿を見てそう言った。


「それも考えたんだけど。 なーんか嫌な予感がするから、それは無しになりました!」

「え?」

「そうだな。 それに、あのステータス…普通に考えても異常だ」


親父も優香の発言に”うんうん”と深く頷くとそう告げる。


「い、異常?」

「もう…創輔? 知らないの? この世界で産まれた赤ん坊でもレベル1 ステータスはオール10。 そういう常識があるのよ?」

「オール10?」

「そう! お兄ちゃんも、私もお母さんもお父さんも! みんなレベルは1です手―タスは全て10あるの!」

「それを証拠にほら」


母さんは俺の母子手帳を取り出すと、そこにはしっかりと―――


――不死川 創輔―――


レベル1

MP10


攻撃力10

防御力10

魔法攻撃力10

魔法防御力10

素早さ10

運10


スキル 

???


――――――――――――



という記録があった。


「ど、どういうことだ…」

「そこが全部おかしいんだよね~どれだけ特殊なスキルを秘めた存在だとしても、それは赤ん坊の頃に兆候が見られるの。 例えば一つのステータスが異常に高いとか!」

「そうだな。 特に優香のステータスがそうだった様に、この子は元々MPが50程あったんだ。 だからこそ今は魔法に特化した存在と化している…だが」

「今まで”ステータスが下がった”なんて話はこれまで一度も無かった事なの」


ん~なんというか3人とも妙にその辺の事情について詳しいな?

まさか…


「言っとくけど、これはBランク冒険者の特権だからね?」

「「あぁ(えぇ)」」

「へぇ~Bランク…え? Bランク!?」


待て待て待て待て!!! Bランク!!

Bランク冒険者!? 誰が!?


「え? 誰がBランク冒険者?」

「「「皆が」」」

「え? …まじ?」


Bランク冒険者と言えば、それなりの腕の立つ存在だ。 

ランクは全部で F・E・D・C・B・A・Sの7つランク付けされた存在が居る。

その中でもCランク以上の存在、つまりBランク冒険者は1万人に満たないと聞かされたことがある。

え? もしかしてこの家族って出来る人達?


「え…もしかして、今まで知らなかったの? お兄ちゃん?」

「あ、いや…その…」

「無理もないわ。 冒険者って言葉自体がタブーだったもの…」

「そ、そうだな…」

「そうだった…」


一気に重くなる空気に耐えかねた俺は、話題を逸らすために話を変えた。


「で! 俺は今、何処に連れていかれようとしてるんだ? なんというか、普通じゃな雰囲気を感じるというか…なんというか」


まるで世界の裏側を見ている気分になるというか、この場を漂う雰囲気がただ事ではないというか、妙に位というかなんというか…かなり怪しい!!


「さて、それでは!! 行きますか~!! ”異端者の間”へ!」

「「いえ~い!!」

「い? いぇ~~い!!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る