第6話 レベル&ステータス1、スキルゼロの男

「ステータスが現れたのはいい傾向だ。 だがな、創輔? そんなステータスじゃ、あのダンジョンは攻略不可能だ!? 解るだろう!?」


そう告げる親父。


「そ、そうね…私達も一度あそこのダンジョンに行った事があるけど、流石にそのステータスじゃ」


流石の母さんも哀れみの表情で俺を見つめる。


「そうよ、おまけに兵装って何? それどころかスキルも1つもないじゃん!」


これは擁護出来ないと思ったのか、妹も親父と母さん陣営に加勢する。


「ふっ…ならばいいだろう!! Z!!! アーマーを装着する!!」

「「「!?!?」」」

『警告します。 本当によろしいのですね?」

「なにが!? いいに決まっているだろう! 装着を開始する!」

『本当によろしいのですね?』

「構わん!! 装着!!!」

『装着シークエンスに移行。 アーマー転送――――アイアン試作型』

「ふふふ、これで―――」


ズドン!!!!


「「「!?!?!?!?!?」」」


家の床が半径1m程抜け落ちた。


「あ、やべ…」

「い、家の床がぁ!!!」

「まぁ! なんなのそれは!?」

「ちょちょちょちょ!! ちょっとまって!? 何よそれは!!! 何々何!?」


『アイアン試作型の兵装を説明致します。 近接用”ハンドアックス” 遠距離兵装”アサルトマシンガン” 防御兵装用”ショルダーアーマー”以上3点になります』

「なるほ…視界狭っ!!!」


おまけに初めて装着して思う事は視界が以前に比べて滅茶苦茶狭くなっている。

見えるのは目の前の光景だけだ…それも四角く見えるだけ。


「それってロボット?」


カシャ! と写真を撮って見せた妹の優香は俺に今の格好を写真で見せて来た。

なんだこれは…箱型の無骨な見た目に一つ目の頭部、カラーリングは全身グレーでとてもじゃないが、レーヴァテイン程の迫力は無い。

が、何とも言えぬ威圧感を放っているのは確かだろう。


「なんだそれは! かなりかっこいいじゃないか!? まるで昔、父さんが見ていた鉄ジーンに似ているな!? それが創輔のスキルなのか!? ずるいずるい!! カッコいい!!!」

「す、すごいは…床に穴をあけるって事はそれはもう凄い重量なのでしょうね…」

「か、かっけぇ…お兄ちゃん…」



―――――――――――――――――


そして…

床の修理は妹の魔法で事なきを得て、再び話し合う事になった。


「す、すごいお、重……武器だけでも出現させる事が出来るんだ!? この名前は!?」


俺はアーマーを解除し”アサルトマシンガン”だけを召喚すると、妹にそれを手渡した。


「確か、アサルトマシンガンだ。 まぁ火器みたいな?」

「重量から言うと百キロは優に超えてる…それにお兄ちゃんしってる?」

「何が?」

「モンスターにこっちの世界の火器は通用しないんだよ?」

「―――――え? まじで?」


妹の発言から、両親二人の様子を見るに…この世界のモンスターには火器が通用しない様だ。

というか、普通にそれを持てたお前はもうゴリ――やめておこう。


「まじかよ…じゃあ、効かないのか…」

『いえ、こちらの兵装は通用します』

「―――なんだ! 通用するだって!」

「っていうか…さっきから何と話してるの? お兄ちゃん?」

「え?」


それからさらに1時間程。 Zについてあーだこーだと説明をする羽目となった。

最初は納得してなかったものの、アーマーや色んない経験を話していく内に皆は渋々納得したという感じで収まった。


「なるほど…お前を個人的にサポートするAIか。 そんな突拍子もない事を納得しろ…というよりも納得せざる得ないだろうな。 でないと、あのアーマーの説明がつかない」

「えぇ、そうね…これは凄い事になったわ」

「お兄ちゃん!! 明日は私と冒険者登録にいかない!?」

「ぼ、冒険者登録?」

「それは名案ね! 優香! けど、普通の冒険者登録じゃ…恐らく落とされてちゃうわよ?」

「大丈夫。 こっちはちょっとした裏ルートがあるから!」

「う、裏ルート?」



こうして俺は翌日、冒険者登録をするために…ある冒険者ギルドへ向かう事となった。

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