第33話

 え?うそ?ユニークスキル【傲慢】がなくなっているじゃん!僕が一番良く使うスキルなんですけど?

「え?そうなの?」

「そう!……あ!僕が明日香に渡した大弓はどうなっている?」

「え?普通にあるけど……」

「あるの!?」

 え?じゃあ傲慢の効果がなくなったわけではない?

「【傲慢の権限:聖典:神刀】」

 シーン。

 何も起こらなかった。

 ふぇ?

 意味がわからない。

「あ、確か。黒い人間を倒した時は『体現せよ、英雄たちの軌跡を。英雄たちの栄光を。掲げよ、英雄たちの剣を』なんて言ってたよ?」

「え?」

 何じゃそれ。

 ……もしかしてこの固有スキル【英雄之伝説】の効果か?

 僕は【英雄之伝説】の効果を思い浮かべる。

《固有スキル【英雄之伝説】今も昔もすべての伝説を再現する》

 すると、頭の中に女性の声が響き、スキルのことについて教えてくれる。

 これは異世界にもあり、めちゃくちゃ便利。

 でも、考えてみると結構おかしいよな。

 誰だよこの声……。

 異世界と現実世界の声も同じだし。

 だがしかし、固有スキル【英雄之伝説】の効果はわかった。

「ほい」

 僕は固有スキル【英雄之伝説】を使用し、神刀を取り出す。

 僕の知らない僕は色々とごちゃごちゃ言っていたようだけど、そんなものは必要ない。

 適当に願えば発動する。

 なんか色々とできそうだし、いいんじゃないか?

 まぁスキルに関してはこんなものんか。

 じゃあ次。

 この進化って言うのを見ていこうか。

 というか、レベルって99が最高じゃないんだね。

 異世界でもレベル99より上がったものはいなく、レベル99が最高とされていた。

 僕だってずっとレベル99だ。

 魔王を倒してもレベルは上がらなかった。

 あの化け物を倒すことでようやく開放されるのか。

 それともただ単に必要な経験値が膨大で魔王を倒して、あの黒い人間を倒してようや貯まるのか。

 どちらかはわからない、が。

 後者であれば僕以外にレベル100の局地に達するものはいないだろうな。

 ということで、進化先はなんじゃらほい!

《進化……確認……生体一致……魂不一致……条件クリア……進化先を提示します》

 お、おう?

 魂不一致とかすげぇ怖いことを言われたよ?

 確かに僕の体には過去の英雄と思われるような魂があるが……。

 そして表示された進化先は、

 冥魂之王

 の一つであった。

 少な!

 もっとこう、色々な種類があるのかと思ったよ。

 とりあえず一つしか選択肢がないので、選ぶ。

 ……何も起こらない。

 え?失敗?

 僕は慌ててステータスを確認すると、レベルは1に戻っていて種族もちゃんと変わっていた。

 え?これだけ?

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