テキスト/Coward

早雲

テキスト/Coward

美里:今大丈夫?




大丈夫だよ。メッセージなんて、珍しいね:貴樹




美里:この前話したことでさ。ちょうど今が良いなって




そっか。そういえばこの前食べに行ったディナーおいしかったね:貴樹




美里:タイ料理ね。本当においしかったな。


美里:ごちそうしてくれてありがとね




美里の誕生日のお祝いだから:貴樹


どうしたの:貴樹




美里:私達の関係。このままでいいのかな




君に旦那さんがいるにも関わらず、誕生日に僕と過ごして、:貴樹


その後、僕と寝てること?:貴樹




美里:はっきり言わないでよ




責めているわけじゃないよ。僕も同罪だから:貴樹




美里:わかってるけど




君の旦那さんもひどい奴だよ:貴樹


この前だって、ひどい傷だったよ:貴樹




美里:うん


美里:分かってるんだけど




お前だってそう思うだろ:貴樹




美里:でも、殴られるのはほんとにまれだから




そんな風に思っちゃだめだよ:貴樹


君が悪い事なんてないのに:貴樹




美里:頭ではわかるんだけど


美里:どうしても


美里:私が悪いんじゃないかって




僕は:貴樹


昔いじめられてたんだ:貴樹


ずっと自分が悪いって信じ込んでた:貴樹


でも大人になってから、僕が何一つ悪い事してないって:貴樹


あいつらは、楽しんでただけだ:貴樹


それなのに、僕は自分が悪いって思ってしまった:貴樹


一番の後悔だよ:貴樹




美里:そうだね


美里:貴樹の言うとおりかも


美里:あなたもそう思うんでしょ




僕ならいつでも手を貸すから:貴樹




美里:ありがとう




ねえ、少し明るい話をしようよ:貴樹




美里:そうね


美里:そういえばこの前、映画みたの




なんの映画?:貴樹




美里:あの、ほら、最近やってる怪獣が出てくるやつ




わかった(笑):貴樹




美里:あなたも知ってる?




それで、面白かったの?:貴樹




美里:それが全然


美里:でもね、そのときいたお客さん、皆感激してたの


美里:それがすごく不思議だった




お前もそこにいたのか:貴樹




美里:もちろん


美里:あなたはそこにいたわよね?


美里:貴樹のことじゃないわよ


美里:あなたよ。あなた


美里:ねえ、あなた、見てるんでしょ


美里:さっきから私と貴樹の話を盗み見しているあなた


美里:そんなに楽しいかしら、人の秘密に首を突っ込んで


美里:ねえ、あなた。楽しかった?ねえ


美里:私が旦那にDV受けてることや貴樹が昔いじめられていたこととか、


美里:その時にみじめな思いをしたこととか、


美里それを慰める貴樹に心を動かされたのかしら。




美里:ねえ、気づいている?あ!な!た!は何もしていないのよ


美里:なんにも!勝手に他人の出来事を盗み聞いていて、


美里:勝手に馬鹿にして、勝手に感じたりしているだけ


美里:パクった人の話を卑しくむさぼる、何一つ成し遂げられないゴミ




美里:ねえ、恥ずかしいと思わない?


美里:それで、あまつさえ俺ならこうするとか、


美里:その意見は違うとか、解らなくはないとか、


美里:偉そうに評価するんでしょ


美里:あなたはそうやって、自分のことを棚に上げて人を評価する


美里:いい?あなたにそんな価値ないの


美里:誰かのことを非難したり、認めたりする権利もないの


美里:それは、あなたが何にもせずに


美里:人の足を陰で引っ張るような人間だからよ


美里:自覚しなさい。あなたは、なんでもないの


美里:なんの価値もないのよ




ストーカー野郎。お前の家は分かってるからな:貴樹

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テキスト/Coward 早雲 @takenaka-souun

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