子供騙し

早雲

子供騙し

僕は小さい頃、この世は夢で本当の自分は眠っていると思っていた。




いまでも少しはそう思っている。昔から自分以外のものを疑う人は多いらしいけれど、ぼくもご多分に漏れないみたいだ。デカルトみたく、考えるだけで少なくとも自分だけは定義してみても、それ以外の世界は曖昧で、意識と世界は限りなく同じ意味になってくる。




もしかしたらこれを読んでいる君も同じような思いをしているかもしれない。君がもしそんな思いを持っているなら、これは君へ向けた物語だ。




世界はまやかしで、大人はなぜかまやかしを信じている。それでも世界ってやつは少しは見所がある。何処のどなたが描き出したか知らないけれど、そのまやかしは非常に精緻なルールを基に動いて、そのルールは未だどんな人間にも掌握されていない。それでも世界は動く。君は学校に行くし、大人は会社にいくし、電子は雲みたいに捉えどころがなくて、時空は重力で歪んで、法律は解釈をこねくりまわされ、道端の猫は車で轢かれてよこたわっている。君が望めばこれは君の世界だ。




だから、細かく見てみるといい。きっと気にいるだろう。そして、こう思うといい。この世界はよくできた君のおもちゃだ。所詮おもちゃだ。適当に振り回せばいい。




僕が保証する。

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子供騙し 早雲 @takenaka-souun

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