エッセイスムス

【予告】新作『闘う中学生』

　新作の小説『闘う中学生』が完成したので、今週9月6日水曜日19時に第一章をカクヨムで公開する。

　ある少年についての物語である。十四歳の彼が、世界との対峙でどのような反応を見せるか。傷つけられた魂、あるいは傷つける魂の向かう先、衝動の果てにあるものを描く学園譚である。

　書いている間、私はあることを考えた。この物語の意義についてである。こんな小説が存在してもよいのか、存在することに意味があるのか。たびたび疑問符がついた。夜中の自室で、屋外の喫煙所で、終電の車内で、私は考え続けた。

　「キッチュではなく、ただ倫理的であること」を信条としたのはヘルマン・ブロッホであったが、この小説がキッチュであるか否かは、私に判断できない。私はそれを判断できる立場にない。お前の小説は俗悪低級な模倣品だ、と読者に言われれば、甘んじて受け入れるしかないのだろうか。

　結論は出ないまま、作品は完成を迎える。私は考えるのをやめ、ただ一つのことを願う。少数の賢明な読者に、このささやかな物語が届いてくれればと。