日誌①

西暦×××年の記録

少年の姿に化けた。

その方が、受けがいいからだ。

美しく、利発で賢そうな少年は、どこへ行っても受け入れられた。

例え、不思議な力を持っていたとしても。


ある日、どこかの王が言った。

「我が城の塔に、何かが埋まっている」

まさかと思い、掘り返すように命じた。

人間の大人たちは、不満そうにしながらも、掘り返していく。


カツリと

木製のシャベルの先が、何かにあたった音が響く。

大人をかき分け、音が鳴ったほうへ、

はしる、はしる


『やはりそうだ』

こんなところに、アレの制御装置があったなんて……

無能な先遣隊共に、文句を言ってやりたくなる。

案の定というか、同じ場所に、『○○○○(解読不能)』が埋まっていた。


埋まっているものを見て、文明が遅れているコイツらは、

「魔物だ」「災いの象徴だ」と恐れおののく。

赤い方は、まだ使い道がある。しかし、白い方はだめだ。

白い奴は、制御装置が効きにくい。


こいつらには適当に、言っておいた。

確か、赤い方は味方で、白い方は敵を表す……とか言ったような気がする。

細かくは覚えていない。

まぁ、些細な問題だろう。


予想通りというか、私が隠れて操作していた赤い方が、

役立たずの白い方に勝った。

そのおかげで、私は預言者、賢者としての地位を確立し、

この国における、立場を得たのだった。


赤い方は、核を取り出して、人間に埋め込んでみよう。

きっと、強い子に育つ。

白い方は、このまま眠らせておこう。

処分する価値もない。

放っておけば、いずれ壊れるだろうさ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る