第37話 うん、俺はお前にビッグラブ
「はぁー、なんか疲れた。お前らも観衆勢も早くしねーとそろそろ」
キンコンカンコーンキンコンカコーン。チャイムが鳴った。
「始まるぞー」
「ヤバいっ」
「走ろう兄さんっ」
「そうだねっ。じゃあ、お姉ちゃんっ」
「僕らーの世界へっ」
「走っていこーう」
双子はバック走行し、歌いながら手を振り教室へ走っていった。
「
「え? 僕らの世界へ?」
「違いますっ、教室ですよっ」
一限目に何とか間に合った。今日こそ特訓をしよう。フェルデンと二人きりで。
そして、待ちに待った放課後。
「特訓、するか!」
「はい!」
体操着に着替え、いつものー場所へー。
体育館裏。
「やっぱりまずはストレッチですかっ?」
「……うん、そうなんだが。それよりもフェルデン」
「はい、何でしょう」
「そのブルマどうした」
フェルデンはいつもの体操着の短パンでななく、紺色のブルマを穿いていた。
「気がついたら学生鞄の中に入ってたんです」
「あー……」
もう、謎は解けた。あのヲタ弟が腰グイの時に入れやがったに違いない。だが、しかし。
「いつの間にか入っていた怪しいブルマ。普通なら誰も穿かないぞ」
「怪しくないですよっ。きっとこれは神様からのプレゼントですっ。これを穿いて特訓を頑張れって事なのですっ」
「…………」
これぞ、
「いや、まぁ、お前がいいならいいんだ。じゃあストレッチな」
「はいっ」
「今日は二人でやると効果的なストレッチをしようと思う!」
「なるほどっ」
「でも、まずは体を
「はいっ」
屈伸やアキレス腱伸ばしなど一通りした。
「今日は、脇腹伸ばしで代謝を上げようと思う!」
「はいっ」
「横並びになって、片足を付けてくれ」
「こう、ですか?」
フェルデンは俺の右隣に来ると右足を俺の左足にくっつけた。
「そうそう。そしたら、お互いに両手を取る」
「はいっ」
俺は左手を下、右手を上で。フェルデンは右手を下、左手を上でがしっと手を組んだ。
「そうしたら、外側に一歩踏み出してお互いにぐいーっと引っ張るんだ。無理せず程よくな」
「はいっ」
俺は右足を、フェルデンは左足を外側に一歩出し、お互いに引っ張り合った。
「おおーっ、すごいですっ、雅さん! 脇腹が伸びて気持ちいいですっ」
「そうだろう! これを反対側でもやる!」
「これにはどんな効果が?」
「コアマッスル、つまり、体幹を刺激するんだっ」
「体幹っ、なるほどー。どんなスポーツでも大切ですもんねっ」
「そういうことだ!」
「あ、そうだっ。雅さん」
「どうした」
「少し伸ばす力を緩めてくれますか?」
「構わないが」
俺が力を抜くと、フェルデンも力を抜いた。
「そして、上の手を少し下げてください」
「おう」
俺は左手を、フェルデンは右手を。繋いだまま少し下げた。
「雅さん、見てくださいっ」
「ん?」
「大きなハート、ビッグラブの完成ですっ」
「…………」
うん、俺はお前にビッグラブ。
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