【回避力】を極めた俺は異世界にて無双する〜当たったら即死?そんなの当たらなければ無意味だよ?だから俺は【回避力】に全てを賭ける〜

御霊

第1話 取り敢えず【回避力】


 目が覚めるとそこは緑の生い茂った平原だった。


 「…は?ここ何処だよ……」


 辺りを見渡すが見知った建物はない。

 

 オレはさっきまでコンビニに行くために歩いていたはずだがこれはどう言う事だ?


 ――思い出した……。

 確か俺はコンビニに行く途中でトラックと正面衝突したんだった。

 あれは確実に死ぬ勢いだった。

 だが何故俺は今生きているんだ?


 自分の肌をつねってみたが痛みを感じた。

 

 夢では無いな。

 夢では無いのならここは何だ?

 死後の世界?

 本当にオレが死んだのなら漫画とかでありがちな異世界転生だろうか。

 でもオレは日本にいた時と顔や服装は同じだ。

 益々ますますよく分からないな。

 異世界に来たのなら何かしら異世界要素があるはずだ。

 スキルとか"ステータス"とかがあるのか?

 

 すると俺の頭の中に何かが浮かび上がった。


――――――――――――――――――――


 【ステータス】 保有SP : 10


 〈名前〉 ライト=ミヤシタ

 〈レベル〉 1

 〈称号〉 ――――――

 

 【体力量】100〔+〕

 【魔力量】100〔+〕

 【攻撃力】100〔+〕

 【防御力】100〔+〕

 【敏捷性】100〔+〕

 【回避力】100〔+〕

 【幸運値】0.0 〔+〕


――――――――――――――――――――


 本当に出た…。

 こんなのまるでゲームじゃないか。

 このSPって言うのはなんなんだ?


 【『SP』・・・ステータスポイントの略。このポイントを使いステータスを上げることが出来る。】


 頭の中にゲームの音声の様な声が響く。


 ビックリした…。

 もしかしてここ本当に異世界なのか?

 本当に異世界なら盗賊とか魔物とかに襲われる可能性もあるのか……。

 ステータスを上げよう。

 このプラスを押せば良いのだろうか。

 試しに幸運値を上げてみよう。


――――――――――――――――――――


  保有SP : 9


 【幸運値】1.0〔+〕


――――――――――――――――――――


 SPを1使うと1上がるのか。

 このSPはどうやって増やす事が出来るんだ?


 【―――『SP』は自身のレベルが上がった際上がったレベルのポイントを取得出来ます。】


 なるほど。

 じゃあレベルを上げるためにはどうするんだ?


 【―――レベルを上げるためには経験値を取得する必要があります。経験値は魔物を倒した際に手に入れることが出来ます。】


 てことは魔物が存在するのか。

 典型的なので言うとスライムやらゴブリンか。

 俺に倒せるのか?

 魔物にあっても死にたくはない。

 上げるべきは体力量か?

 いや相手の攻撃力を軽減させる防御力か?

 

 ……よく考えてみたら俺は何で戦う気でいるんだ?

 

 生き残れさえすればそれで良い。

 だから俺が上げるのは……


――――――――――――――――――――


  保有SP : 0


 【回避力】190〔+〕


――――――――――――――――――――


 勿論【回避力】だ。

 攻撃を避ければなんの問題もない。

 【幸運値】と違い最初から100あるステータスはSPを1使うと10上がるみたいだな。

 これで取り敢えずはマシになっただろう。

 てことでまずは情報収集だ。


 俺は人のいるところを目指すために歩き始めた。

 平原を越え、森を抜けると人工物だと分かる街道に出た。


 ここから先に進めばいずれ街に着くはずだ。


 俺は少し足を速めた。

 すると――


 ピュンッ!


 「はっ!?」


 何かが俺の目の前を高速で通り過ぎた。

 飛んできた物を見ると拳くらいの大きさの石であった。


 「誰だ!?」


 飛んできた方向を見ると何かがこちらを睨んでいた。


 醜悪で憎悪に塗れた顔。

 緑に褐色した肌。

 尖った鼻と耳。


 ――ゴブリンだ。


 俺は初めて見る生物を直ぐにゴブリンと察し距離をとった。


 ここで魔物と遭遇するのかよ……。

 やばいな俺魔物と戦ったことないぞ…当たり前だけど。

 どうしようか…。

 逃げるか?


 しかしゴブリンは俺を逃してくれなさそうだ。

 今にも飛びかかってきそうな勢いで息を荒げている。

 俺を食料としか見ていないような感じだ。


 大丈夫…。

 相手はゴブリンだ。

 ゴブリンは雑魚キャラで有名なくらいだろ。


 一触即発な状況は俺が息を呑むのと同時に解放された。


 ゴブリンは鋭い爪を立て俺へ跳びかかる。

 しかし俺は極度の集中力でそれを躱しもう一度距離を取り先程投げられた石を掴みゴブリンが跳びかかるのと同時に頭目掛けて投げる。

 それが運良く当たりゴブリンは意識が朦朧としていた。


 「ホントに当たったよ…。これもさっき上げた【幸運値】のおかげか?」


 苦笑いを浮かべた後このチャンスを逃すまいとゴブリンの顎に狙いを定め殴りつける。

 しかし俺の【攻撃力】が低いせいか中々死ななかった。

 何十回も殴り続けた後、動かなくなり消滅した。


 「ホントに倒せた……」


 必死に殴り続け、息を整えると本当に自分がゴブリンを倒したという実感が湧いてきた。


 「やれば出来るもんだな…」


 俺は街道を外れて小川で血の滲んだ手を洗い再び歩き始めた。


 そしてふとステータスを開くとレベルが上がっていることに気付いた。

 

 え?

 ゴブリン倒しただけでこんなにレベル上がるのか?


 俺のレベルの欄には44という数字が書かれていた。


 もしかしてこの世界ではこのくらい上がるのが普通なのかもな。

 俺もこの世界に慣れていかないといけないな。


 そして俺は特に迷う事なくSPを【回避力】に振った。

 

――――――――――――――――――――

 

  保有SP : 0


 【回避力】630〔+〕


――――――――――――――――――――

 

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