貞操逆転世界で真面目な成り上がりを目指して男騎士になった僕がヤリモク女たちに身体を狙われまくる話
寒天ゼリヰ
第一章 リースベン戦争
第1話 くっころ男騎士とオーク山賊団
緑色の肌の筋骨隆々な女たちが、下卑た目つきで僕を見ながら言った。
「ほら言えよくっ殺せって!男騎士なんだから言えよ!」
「くっ……」
それは女騎士の台詞だろ常識的に考えて。そう言い返したいところだったが、残念なことにこの世界ではメスオークどもの言い分の方が正しいから困る。なにしろここは貞操逆転世界、つまりは女が男の尻を追いかけまわす奇妙奇天烈な場所なのだ。
ついでにいえば、この世界のオークはメスしか存在しない。オークだけではなく、ゴブリンなんかの定番竿役モンスターもそうだ。僕は額に汗を垂らしつつ、連中を睨みつけた。肌の色を除けば、たんなるやたらマッチョな大女にしか見えない。服装はぼろきれじみた蛮族ファッションで、肌の露出はびっくりするほど多かった。前世の価値観を残した僕から見ればかなりスケベに見える。眼福と言えば眼福なのか?
「早くしろ! こいつがどうなってもいいのか?」
そんな僕の内心には一切気付かず、オークはロープでグルグル巻きにされた革鎧姿の少女に汚らしいナイフを突きつけた。猫耳みたいなモノを頭に生やした、やたらとファンタジックな少女だ。オーク討伐をしにやってきた僕が、案内役として雇った冒険者だった。
かわいらしい顔を真っ青に染めつつ、猫耳少女はあうあうと言葉にならない声をあげている。嗜虐欲をそそる表情だが、残念ながらオーク共の獣欲は僕にしか向いてない。
「くっ……殺せ!」
なにがくっ殺せだよ。死にたくはねえよ。くそ、エロゲは前世でさんざんプレイしたけど、まさか自分がこれを言う側になるとか思ってもみなかっただろ……
「ギャハハ! 本当に言いやがった!」
「まさか生きてるうちにナマでくっころ聞けるとはなあ!」
オークどもはもう、大盛り上がりだ。この世界では戦士と言えば女というのが常識で、男騎士なんてものはほとんどいない。そんな希少種を前にして、オークどもはずいぶんとテンションが上がっているようだ。
気持ちはわかる。僕だってオークに転生していたら、女騎士のくっころで大興奮していた自信がある。そして欲望にギラついた目でじろじろ見られるのは、正直結構興奮しちゃうんだよな。僕は前世でも今世でも、童貞だった。ぶっちゃけ相手がオークでも、あんまり抵抗感はない。
「オラッ! チンコ出せチンコ!」
いよいよとんでもないことまで要求されてしまった。露出狂のケはないので、勘弁してほしいんだけど……
「あんまりチンタラしてると、このガキの指を一本ずつへし折っていくぞ」
ひぇっ……そういう痛そうなのはマジでやめてほしい。仕方がないので、装着しているプレートアーマーの腰回りの装甲をめくる。難儀してズボンをずらすと、露わになったパンツにオーク共は歓声を上げた。
「へっ、見ろよあの飾り気のない下着を」
「男なんて捨てましたってかあ? ギャハハ、これから自分が男であることをしっかり教育してやるから安心しろよ!」
僕が女で、オーク共が男なら、エロゲの一場面にありそうなセリフだ。でも、現実は逆なんだよな。オーク共ははもちろん、人質の猫耳少女まで僕のパンツに視線が釘付けになっている。
この世界の女性にとって、男の下着はかなり興奮するモノらしい。僕だけパンツ見せるのは不公平だろ! お前らもパンツ見せろよ!! いや、オーク共はパンツ丸出しよりも恥ずかしい格好だったわ。
「おいおい。テメーまでなんで見てるんだよ!」
下卑た笑みを浮かべつつ、オークが少女を小突いた。小さな悲鳴が上がる。その声で、僕の頭も正気に戻った。
「やめろ、その子には手を出すな」
「はっ、お優しいことで」
ポーカーフェイスだけは得意なので、オークどもは僕の動揺に気付いていないようだ。バレたら間抜け極まりない上に快楽堕ちルート一直線なので、密かに胸を撫でおろした。
ニタニタと笑いつつ、オークは少女のほっぺたをナイフの腹でぺちぺち叩く。オークというよりは、チンピラのやりくちじゃないのか、それは。
「そのすまし顔も、いつまで続くかな? じきにヒィヒィ言わせてやるからよ」
卑猥に腰をグラインドさせつつ、オークは凄む。
「オークの締め付けはすごいぜ?
男女逆転しても、やはりオークは性的強者らしい。エロゲよろしく、僕も最終的にアヘ顔ダブルピースとかさせられてしまうのだろうか?
自分のアヘ顔なんぞ想像もしたくもないが、その過程はかなり興味がそそられる。童貞のサガだ。しかし、しかしだ僕も伊達で騎士をやっているわけじゃない。そう簡単に屈してやる訳にはいかないだろ。
「……」
とはいえ、人質を取られた時点で武装解除させられたので、僕に出来る抵抗と言えば睨みつけることだけだ。しかし、オークどもからすれば、それですら興奮のスパイスになっているようだから手に負えない。
「へへ、いつまでそんな強気でいられるかな? ほら、さっさと出すんだよチンコを。もったいぶるんじゃねえ」
「くっ……」
人質を取られている以上、こちらに拒否権はない。それこそエロゲの女騎士みたいなセリフを吐きつつ、僕はパンツに手を添え……。
「うわっ!」
乾いた銃声と共に、人質を取っていたオークの頭が弾ける。それと同時に、「突撃ー!」という掛け声が響き渡った。剣やマスケット銃で完全武装した十人以上の騎士たちが、こちらに殺到してくる。別行動をしていた、僕の部下たちだ。
油断をしていたオークたちは、あっという間に騎士団に蹴散らされていく。どうやら、僕は助かったようだ。
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