生きてるけど・・・

ふと気付くと、薄暗い路地を1人で歩いていた。

時刻は午後8時頃。

辿り着いたのは、よくある居酒屋。


そうか、今日は久しぶりの飲み会だった。


忘れていた。


店内に入ると、何組かの客が既に飲んだくれていた。

賑やかな雰囲気は嫌いじゃない。

気分が上がった。


が、イヤな顔を見つけてしまった。


中学生時代の同窓生だ。


せっかくの気分が台無しになってしまった。

なんとか気分を上げようとイヤホンをつけて音楽を聴いたが、駄目だ、テンションがだだ下がりでどうにもならん。


諦めて店の奥へ進むと、会社の先輩や上司が既に飲んでいた。高校時代の同級生達も混ざっている。


随分仲良くなったな。


少し疎外感を感じながら席を探すと、某女優さんに似た女性が席をすすめてくれた。

暫く談笑しながら食事をしていると、誰かの携帯電話が鳴った。

気になって振り向くと、ちょうど男性が電話にでた。


スピーカーONのためか会話の内容が聞こえてくる。

どうやら結婚を反対されているらしい。


自分達は結婚しない方が良いのではないか?


泣きながらそう言っている電話の相手。


随分弱気だな。


某女優さん似の女性と話していたところで、視界が暗転した。






気が付くと、また別の場所にいた。


日本のどこかにある城。

どこか見覚えあるのに、全く知らない城。

そんな城の虎口に、自分はいた。


目の前には女の子が二人。

ひとりは半ば透けている。

何か話している。

でも、聞こえない。


また場所が変わった。

今度は月見櫓の中。


女の子がひとりいる。生きている女の子。

彼女が思い切り叫んだ。


すると、あちこちから連続で爆発音が聞こえてきた。

外を見ると、本丸が燃えて中から人が飛び出して逃げ惑っている。


女の子は叫び続けている。

叫びに合わせて、あちこちで爆発が起こっている。

そしてまた場所が変わった。


最後は病院の分娩室だった。


城で叫んでいた彼女が分娩台に乗っている。

近くには医師と男の姿。


顔は蟻のマスクに覆われてわからない。


男が何かに慌てて彼女に近づいた。


彼女の手には産まれたばかりの赤子、ではなく赤子の大きさほどの蟻がぶら下がっていた。


彼女が言う。


この子は、生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。生きてるけど死んでる。


何度も何度も繰り返しているうちに、彼女の身体に憑依していた。


それでも繰り返す。


男が、医師が、止めようとも。


何度でも繰り返す、生きてるけど死んでる。


しかし、













急に身体が動かなくなった。


声を出すこともできなくなった。


掴んでいた蟻は床に落とした。


呼吸もできなくなった。


そして視界は暗転し、















そこで目が覚めた。



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